2012 Fiscal Year Research-status Report
動的変化するネットワークと結合力学系との相互作用が生む秩序化へのダイナミクス
Project/Area Number |
24740266
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
青木 高明 香川大学, 教育学部, 講師 (30553284)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 反応拡散系 / ネットワーク / 自己組織化 / 複雑系 |
Research Abstract |
今日、ネットワークという言葉は物理学のみならず、工学・生物学・社会学など学際的に利用され、関心を集めている。従来の研究においては,ネットワークは固定した結合形態として与えられ,解析が行われてきた.しかし現実の系でにおいては,ネットワークは状況に応じて動的に変化する.このような自由度の高い多様な繋がりは、どのように秩序化され構造形成されているのか。本課題では、結合力学系+動的変化するネットワーク結合という新しい枠組みを提案し、この問いに答えるのが目的である.当該年度の成果は以下の通りである.既に良く研究されている反応拡散系に即して,リソースの拡散・輸送ネットワークとリソースに依存したネットワーク変化を併せて考え,可塑的ネットワークのダイナミクスを調べた(Aoki & Aoyagi, PRL, 2012).まず統計的には,大規模ネットワークではリソース分布が冪則に収束することが分かった.これは実データにおいて観察されている,Zipf則に整合する結果である.またその統計分布をミクロに見ると各ノードは栄枯盛衰を繰り返し,非定常的となっていることが判明した.実ネットワークにおいても,このようなミクロダイナミクスは広く観察されており,さらに今回のような大変単純な力学モデルにおいてこのような挙動が観察されることは興味深いものである.そのため,このミクロダイナミクスを詳細に解析した.結果,この力学系は固定点,周期解,カオス状態を含む多安定状態をもつことが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反応拡散系に即したネットワークの自己組織化ダイナミクスを解析することで,自発的な冪則分布の発生機構を理解することができた.この結果は,Physical Review Lettersに掲載され、さらにHighlighted paperとして雑誌Physicsに要旨つきで紹介されている.
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Strategy for Future Research Activity |
リソースの反応拡散過程とネットワーク結合とが共に変化するプロセスはNetwork co-evolving dynamicsの基礎モデルとして位置づけられる。初年次の結果は主として数値計算によって得られた結果であるため,引き継ぎ理論解析を行い,数理学的理解を深める必要がある.特に定常解の安定性やカオス解の特性を詳細に調査する必要がある。また有向グラフへの拡張や確率過程モデルとしての解析を行うことで、基礎モデルとしての基盤整備を行い,将来的に実データとの対応に備えた準備を行う.以上,上記の結果をまとめてFull paperとして雑誌に投稿する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内外の学会旅費と論文掲載料にあてる予定である.
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Research Products
(9 results)