2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24740268
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
勝木 厚成 日本大学, 理工学部, 助手 (40453914)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 砂丘 / 環境変動 / 地形 |
Research Abstract |
地球上にある砂地形の代表的なものに砂丘がある。砂丘の動態は砂漠化の拡大だけでなく砂丘移動による街の破壊など環境問題とも深く関わっている。砂丘は多様な形態をとる事が知られており、その形態は風の複雑さ(方向や強さ)と砂量で大きく分類することができる。このことから、逆問題として砂丘形態の観測から環境条件を推測できる可能性がある。砂丘は地球上だけでなく火星や他惑星にも存在しており、砂丘形態と環境の関係を解き明かす事は重要な課題となっている。 そこで、本研究では従来から研究されてきた単純な風方向だけでなく風の強さの比率を複合的に変化させることで、様々な砂丘形態を計算機の中で再現することにしその形態的特徴を調べたことにした。ここで使用した数理模型は飛砂(サルテーション)となだれ(アバランチ)を素過程とした格子模型で、計算コストを大幅に削減することができ、複雑な地形形状を容易に計算機上で再現することが可能な模型である。この模型は過去の研究から実験や野外観測で得られた砂丘形態を良く再現することが分かっている。 また、砂丘は単独で存在するより集団で存在することが知られていたので、単独の砂丘だけでなく、複数の砂丘を配置したときに働く砂丘間の相互作用によって形成される砂丘形態と環境条件を変化させたときのの形態変化も調べた。その結果、貧砂環境での縦状砂丘の相互作用により連結砂丘が現れることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画1年目に予定していた砂丘集団分布の統計的性質を明らかにし、砂の供給や風向きなど環境変化を変えたときに起こる変遷状態のダイナミクスを明らかにしたことより、おおむね達成したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書通り、前年度で再現した砂丘群の集団ダイナミクスを調べていく。砂丘は常に角の先から砂を排出しているために、上流からの砂の供給が無いと消滅し、砂の供給が有ると砂丘は成長していく。また、砂の量が多いと徐々に砂は堆積し砂丘が新しく生まれる。従って、できた砂丘群内の砂丘の個数や位置は常に変動することが考えられる。個々の砂丘を粗視化してみてみると、排出された砂は他の砂丘に供給され、それが複雑なネットワーク構造を組んでいると考えることができる。この砂丘ネットワークの特徴としては、ノードやパスが内部ダイナミクスをもち、状態が時々刻々と変化しながら生成、消滅をおこなうことにある。このことは、砂丘群システムを個々の要素と全体の間のダイナミックな相互関係として捉えることで、その構造的特徴や普遍的性質を非平衡統計物理的手法により理解していけると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算機の大規模化をめざして計算機サーバーの追加導入をするとともに、水槽実験における回転板作成のための材料費が必要になる。また、成果発表のために、国際会議の参加を予定している。
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Research Products
(1 results)