2013 Fiscal Year Research-status Report
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24740268
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
勝木 厚成 日本大学, 理工学部, 助教 (40453914)
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Keywords | 砂丘 / 地形 / 動力学 |
Research Abstract |
砂地形に代表される砂丘に注目し、風の複雑性の指標と場にある砂量を変化させたときの砂丘地形の変化を数値計算で調べた。風の複雑性としては風のベクトル和とスカラー和の比をとる値を用いている。砂丘模型としては最初saltation(飛砂)とavalanche(雪崩)の堆積過程だけを考慮した数理模型を用いた。数値計算の結果、多様な砂丘形態を再現できることがわかったので、次に、環境条件を大きく変化させた(風の複雑性を変化させる)ときの砂丘が変形する過程を詳細に調べ、それらを野外観測で得られた画像と比較した。さらに、時々刻々と変化する砂丘地形の動的形状を定量的に議論するために砂丘重心から砂丘表面までの距離を全角度方向にわたって計測することで形状変化を取り扱う手法を昨年度より改良しおこなった。最後に、砂漠の境界領域での複雑な地形や海岸地形への応用を目指し、砂丘表面上の植生を考慮した数理模型を構築した。植生模型では従来の堆積過程に加えて、"植生によsaltationの抑制効果"と"植生の成長、枯死"を考慮した。数値計算の結果、植生なしでは角の向きが風下方向を向く三日月型砂丘が、植生存在下では角が風上方向を向くという観測事実の再現に成功している。ほかにも植生の成長速度を変化させることによって、植生をともなった横列砂丘が現れることがわかった。これらの振る舞いは過去の野外観測で報告されていたものと類似している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時々刻々と変化する砂丘形状の定量的評価は当初困難であると思われた。しかし、他分野で使用されていた重心から表面境界までの距離を全角度方向にわたって計測することで形状変化を取り扱う手法を砂丘に応用することで定量的に砂丘形状の変化を測定することができた。申請時ではこの手法を想定していなかったために、今回の手法開発は大きな進展と言える。この砂丘変形の定量化は研究計画2年目に計画していたもので、研究計画はおおむね順調に進展していると言える。 また、今年度は植生砂丘の数理模型化にも取り組んだ。これは3年目に計画している研究計画の一部であり、複合地形への足がかりとなる進展であると考えられる。特に、植生の模型化において"植生によsaltationの抑制効果"と"植生の成長、枯死"が重要なプロセスであることがわかってきたことは大きな進歩である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で砂丘変形を計算機シミュレーションにより定量的に評価することができたので、今後その変形に対する微分方程式系の構築を行っていく。ここで、多方向から吹く風によっておこるsaltationの影響をどのように取り込むかが問題となるが、風の方向ではなく地形を回転することによって実効的な多方向を作り出すことによって解決できると考えている。他にも、今年度は植生砂丘の再現に成功したことにより植生砂丘の微分方程式系を構築することを目指していく。植生においては植物の種類や地下水の分布の影響も数理模型に取り込むことお考えていく。 また、風の複雑性や砂量という環境条件をかえた水槽実験をおこなうことにを見据えて、ターンテーブルや定量的砂供給装置の作成や砂丘形状測定装置の開発を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に予定していた海外及び国内学会等での成果発表を平成26年度に変更した。また、実験水槽が故障してしまったために実験装置の開発をすすめることが困難になったので開発を平成26年度以降に変更したため。 海外及び国内学会で発表をおこなうとともにデータの保管、解析向上のためのパソコンを購入予定である。また、実験装置開発のためのアクリル板を購入予定である。
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Research Products
(3 results)