2013 Fiscal Year Annual Research Report
2次元密度行列繰り込み群法によるディラックフェルミオンに対する強相関効果の解明
Project/Area Number |
24740269
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
白川 知功 独立行政法人理化学研究所, 柚木計算物性物理研究室, 基礎科学特別研究員 (40571237)
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Keywords | 密度行列繰り込み群 / 2次元強相関電子系 / 量子スピン液体 / トポロジカル秩序 / ディラックフェルミオン |
Research Abstract |
本研究では、密度行列繰り込み群法を2次元強相関電子系に応用し、量子スピン液体相などの新奇量子相の存在の有無を明らかにする事を研究目的とした。量子スピン液体の実現にはフラストレーション効果が重要とされているが、こうしたフラストレーションを含むフェルミオン系では量子モンテカルロ計算などが困難であるため、非常に困難である。そこで、本研究では電子系の密度行列繰り込み群法では世界最高水準となる状態数m=10000を取って計算を行う事を目標に掲げた。 本年度は、(1)三角格子ハバード模型、および(2)交替フラックス三角格子ハバード模型に2次元密度行列繰り込み群法を適用した。状態数は目標のm=12500までとり、基底状態に対する2重占有率の依存性を調べた。その結果、模型(1)ではオンサイト斥力Uの関数として、2重占有率に2つの異常があること、および模型(2)では、2重占有率の異常が1つである事がわかった。この事は、模型(1)ではUの関数として転移が二つ、模型(2)では転移が1つである事を意味している。模型(1)と(2)は、強結合極限において三角格子ハイゼンベルグ模型へとマップされる。また、模型(2)は相互作用がないときにディラック電子系として振る舞う。以上の事をまとめると、模型(1)では量子スピン液体が実現している可能性が高い事、および模型(2)では絶縁体転移と共に磁性が発現している可能性が高い事がわかる。模型(1)の結果から、有機導体における量子スピン液体を考える際には、電荷の揺らぎが重要である事が予想される。また、現在までの所、模型(2)の結果を含め、ディラック電子系におけるモット転移は対称性の破れを伴ったものしか見つかっていない点で興味深い。
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Research Products
(6 results)