2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24740273
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
根来 誠 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (70611549)
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Keywords | スピン増幅(スピンアンプ) / 核磁気共鳴(NMR) / 動的核偏極(DNP) / 光励起三重項 / ペンタセン(pentacene) / p-ターフェニル(p-terphenyl) / ハミルトニアンエンジニアリング / スピン格子緩和(T1) |
Research Abstract |
以前行われたスピン増幅の結果を解析し、スピン格子緩和や量子ゲートエラーがスピン増幅利得に与える影響を明らかにした。スピン格子緩和時間が長いほど、得られるスピン増幅利得は大きくなる。スピン格子緩和を長くするために中央のベンゼン環のみ重水素化されたp-terphenyl-2',3',5',6'-d4を合成した。この分子をホストに用いることで通常のp-terphenylに比べて緩和時間が4倍になり、さらなる高利得が期待できる。この分子をホストに用い、さらに偏極源に重水素化ペンタセンを用いることで偏極率34%を達成し、これを論文として発表した。 実験では、不要な相互作用や実験装置の制約、系統誤差の影響を避けることが出来ず、量子ゲートのフィデリティが下がってしまう。実際の条件下でもっとも量子ゲートのフィデリティが高くなるようにパルス波形を数値最適化する方法(ハミルトニアンエンジニアリング)を提案した。これによってスピン増幅に必要な量子ゲートを設計し、実際の条件を課したシミュレーションによって従来よりも高フィデリティで実行できることを示した。 スピン格子緩和下で、量子ゲートエラーが不可避な状況でもスピン増幅利得をスケーラブルに増やせる方法を考案した。この方法はスピン格子緩和による影響を、冷却を利用することで抑えながら利得を増やす方法で、スピン格子緩和時間、量子ゲートフィデリティ、冷却時の偏極率がある閾値を上回ると、スピン増幅利得をスケーラブルに増やせる。
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Research Products
(34 results)