2014 Fiscal Year Annual Research Report
高励起領域における励起子ポラリトンボース・アインシュタイン凝縮の研究
Project/Area Number |
24740277
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
堀切 智之 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40530275)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 励起子ポラリトン / ポラリトン凝縮 / 強結合 / 量子井戸 |
Outline of Annual Research Achievements |
励起子ポラリトン凝縮体を高励起領域まで強く励起する場合、従来は励起子・強結合の消滅とそれにともなう弱結合半導体レーザー動作への移行という描像で理解されていた。しかし我々はその理解では無理がでる例をフォトルミネッセンスにおいて観測した。 具体的には凝縮閾値の20倍を超すような高励起領域では、フォトルミネッセンスが下方ポラリトンから徐々に共振器エネルギーに移行するとともに、高エネルギー側に新しいフォトルミネッセンスピークが現れる事を時間分解分光により観測した。 電子-正孔-光系におけるBEC-BCSクロスオーバーの場合、高励起領域で依然として電子-正孔間に束縛があり、束縛エネルギーに対応するエネルギーにおいて新たなフォトルミネッセンスピークが観測される可能性を示した。また計算においてフォトルミネッセンスの示すエネルギーが下方ポラリトンから共振器モードへと徐々に以降してくことを示した。 我々の研究では、強結合が保たれたまま高励起領域に達すると上方・下方ポラリトンの2ピークからなるシステムは、Mollowの3重項様の共振器エネルギーにある主ピークと上下エネルギーにあるサイドピークからなる3ピークへと移り変わっていく事が予想されていた。しかし観測出来たピークは2つのみであり、下サイドバンドに対応するピークは観測されなかった。この理由はマイクロ共振器構造によるポラリトンの短寿命非平衡性から来ており、高励起では上サイドバンドのフォトルミネッセンスはFermi-edge singularityにより増強される一方、下サイドバンドは増強されないという点にある事が示唆される。
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