2012 Fiscal Year Research-status Report
X線レーザーを用いた量子光学研究のためのイオン・トラップ装置の開発
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24740278
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
HARRIES JAMES 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (30416383)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 原子・分子 / イオン / 放射光 / 自由電子レーザー |
Research Abstract |
このプロジェクトの目的は放射光・自由電子レーザービームラインでの使用のためのイオン・トラップ装置の開発である。2012年度のメインな成果はFEMシミュレーションなどによる新しいトラップの設計・試作である。さまざまなトラップの種類を検討した結果、永久磁石を利用したペンニング・トラップを選択した。電子ビームを加えると電子ビームイオントラップとしての利用も可能になる。 永久磁石を利用することによって、超電導磁石を利用する従来のトラップと比べてトラップ中心の地場が小さくなる(~6Tに対して~1T)が、購入コスト、維持コスト(液体ヘリウム)を削減できる。さらに、検出の立体角が大きくなるので放射光等の実験に向いている。将来は直入の電子線ではなく、オッフアクシスのビームを利用するとさらに実験の可能性が広がる。(入射光の透過の検出、オンラインのダイアグノスティックとしての利用、等。) 設計はドイツ国、マックスプランク核物理科学研究所の協力を得ながら行った。真空外の磁石・ポールピースを利用して試作・評価を行った結果、真空内のポールピースを利用した設計を進めた。この設計はベーキングが必要なため、磁石は真空外になる。ドイツで行われた第12回多価イオン物理学会でこの設計について発表をおこなったところ、幅広い方面から好評の意見をもらった。さらに、自由電子レーザーについての学会にて新しいトラップを紹介した。 自由電子レーザー実験の準備のため、中性ヘリウムの自由電子レーザー光のプロパゲーションについて実験およびシミュレーションを行った。同じ実験法をイオン・トラップ実験に展開するとより短波長の量子光学実験ができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
限られた予算で製作可能だと判断したトラップの設計は永久磁石を利用した簡易EBITである。ドイツ国、マックスプランク核物理科学研究所の協力でテストの磁気回路部品・真空装置の製作が可能になった。トラップの中心の地場をあげるため、真空内のポールピースの設計を行ったが、材料が入手困難のため、製作が遅延になった。電子ビーム導入のための電子光学系の設計は細かいシミュレーションが必要なため、専用のソフトを利用している。また、ビームラインでの利用を効率よく行うため、オッフアクシスの設計を平行で進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
永久磁石を用いた磁気回路は2013年夏の製作予定。オフラインテストの後、放射光を用いた予備実験を予定している。放射光X線を用いて、光イオン化過程で作ったイオンをトラップして、蛍光を検出する、という実験法を予定している。同時平行で電子ビームのための電子銃、電子光学系の設計、シミュレーション、製作をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
真空チェンバー、磁気回路部品の製作:160万円程度。 永久磁石の購入:50万円程度 電子光学系:20万円 カソード:15万円
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Research Products
(4 results)