2013 Fiscal Year Research-status Report
デュアル光格子時計を用いた、黒体放射の影響を受けない合成時計周波数の実証
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24740281
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
赤松 大輔 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (90549883)
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Keywords | 光格子時計 / 光周波数コム / 精密計測 / レーザー分光 / レーザー冷却 |
Research Abstract |
本年度の前半では、昨年度までに立ち上げたSr光格子時計を用いた実験を行った。まず、Sr光格子時計の不確かさ評価をinterleave法により行った。光格子時計自体の不確かさは3.8x10^-16であった。この結果は、絶対周波数測定の結果と合わせ、Applied Physics Expressに掲載された。さらにSr光格子時計と既存のYb光格子時計を同時に稼働し、二つの光格子時計の時計遷移の周波数比計測を行った。それぞれの光格子時計の絶対周波数計測を行う場合と比較し、同程度の不確かさの測定結果をおよそ1/10の積算時間で得ることに成功した。この実験は、世界で初めて二台の異種光格子時計を用いた周波数比計測の実験であり、実験結果はOptics Expressに掲載された。 本年度後半からは、Sr光格子時計を実現している真空装置を用いてYb光格子時計の立ち上げに取り掛かった。まず、二つの原子種のスピン許容遷移を用いた同時磁気光学トラップを行った。Ybの磁気光学トラップ用レーザー(399nm)によりSr原子のイオン化がおこり、捕獲されるSr原子の数が減少するものの、およそ10^6個のSrおよびYbの同時磁気光学トラップに成功した。さらに、スピン禁制遷移を用いた同時磁気光学トラップにも成功した。二種類のアルカリ土類金属様原子の同時磁気光学トラップは世界初の成果であり、デュアル光格子時計の実現に向けた大きな一歩である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までにスピン禁制遷移を用いたSr/Yb同時磁気光学トラップに成功した。Srに関しては昨年度までの研究ですでに時計遷移の分光ができている。Ybに関しても既に光格子用光源の準備はできているため、二つの原子種を同時に光格子中に捕獲するデュアル光格子時計の実現の目前まで来ているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、YbおよびSrのスピン禁制遷移を用いた同時磁気光学トラップに成功した。これにより、二つの光格子時計を一つの真空槽中で実現する目処がついた。そこでまず、来年度早々には、Ybの時計遷移の観測を行う。そして、その絶対周波数測定および不確かさ評価を行う。その後、Sr光格子時計用のレーザーも同時に使用して、同一真空槽中で二つの光格子時計が稼働できるシステムを目指す。すなわち、同時に二つの原子種の時計遷移を観測できるようにする。この時、それぞれの時計レーザーは同一の光周波数コムによる線幅転送により実現されているようにする(初年度の研究で実証済み)。そして、それぞれの時計遷移に時計レーザーを安定化し、その信号から真空装置の温度が変わっても変化しない、合成魔法周波数があることを示す予定である。
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