2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24740283
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
栗田 玲 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (20579908)
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Keywords | ソフトマター / 温度勾配 / 非平衡 |
Research Abstract |
・最終年度の研究成果について 界面活性剤+水系は界面活性剤が2分子膜を形成し、さらにその二分子膜が平板にならんだラメラ相や3次元的にネットワークを形成しているスポンジ層を形成する。今回、この系をカバーガラス2枚ではさみ、その間に平行に配列したラメラ相に対して、温度勾配を与え、その挙動について観察した。ラメラ相には膜が折り畳まれた線欠陥と言うエネルギー的な不利な状態を形成する事が稀にあり、これはバルクではエネルギーの損失のため好まれない。しかしながら、温度勾配下では、このエネルギー的に不利な構造である線欠陥を積極的に移動させる事により、温度勾配中でのエネルギーのやり取りをしていることを発見した。今回の発見により、線欠陥はただ欠陥として存在しているのではなく、現実世界のような温度勾配があるような系において重要な役割を果たしている事を暗に示している。これらの実験結果、考察に関して、現在、論文を執筆中であり、近々投稿する予定である。 ・期間全体を通じての研究成果について 研究期間全体では、温度勾配下におけるソフトマターの高次構造形成について完全に終わらせる事は出来なかったが、上記のような重要な結果が得られ、Nature Communicationsに論文を掲載するなど、充分インパクトのある研究が出来たと考えている。今回の結果をもとに、今度さらに発展的な研究を行い、この分野の研究を進めていく予定である。
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