2012 Fiscal Year Annual Research Report
高分子化イオン液体を用いたバルク状高分子電解質のマクロダイナミクスの解明
Project/Area Number |
24740295
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中村 健二 立命館大学, 理工学部, 助教 (00511693)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 高分子構造・物性 / 複合材料・物性 / レオロジー / 高分子電解質 / 高分子化イオン液体 |
Research Abstract |
本研究は、高分子化イオン液体を固体バルク状態における高分子電解質のモデル物質として捉え、これのレオロジー測定と複屈折測定を通して、未解決の問題であるバルク状態の高分子電解質のマクロダイナミクスを完全に理解することを目的とする。これまでの高分子電解質を用いた研究は水溶液系における検討がほとんどであったが、これを固体系に拡張することで低分子・高分子、液体・固体状態を問わず様々なソフトマターイオニクス系のダイナミクスを統一的に理解することを狙った研究である。 高分子化イオン液体として、主鎖が同一で対イオン種が異なるもの、及び高分子主鎖の電荷密度が異なる共重合体を用い、電荷やイオンが高分子のマクロダイナミクスに与える影響を検討した。レオロジー測定の結果、サイズが小さい対イオンを有する高分子化イオン液体は電気的中性の高分子と同等の挙動を示し、大きなサイズの対イオンを有する高分子化イオン液体はガラス-ゴム転移領域のタイムスケールに特有の緩和挙動を示した。また、この緩和は共重合体中のイオン液体モノマーの割合が増えるほど顕著になった。 また、動的複屈折測定から、高分子化イオン液体特有の力学緩和挙動は高分子鎖のセグメント運動に起因するものではなく、局所運動に起因することがわかった。以上の結果から、この緩和挙動は大きなサイズのイオンが高分子鎖マトリックス内で回転運動をしているもの、あるいは一部の高分子濃厚溶液系で観測されるサブラウス運動が観測されていると考えられる。すなわち、高分子化イオン液体は、イオンが可塑化効果を果たした高分子溶液系の物理である程度の解釈が可能といえる。以上の研究成果は学会発表で講演し、また論文としても成果を公表した。
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Research Products
(7 results)