2013 Fiscal Year Annual Research Report
マルチモード表面波を用いたリソスフェア-アセノスフェア境界の研究
Project/Area Number |
24740298
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉澤 和範 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344463)
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Keywords | 地球・惑星内部構造 / リソスフェア / アセノスフェア / 表面波 / 上部マントル |
Research Abstract |
本研究では,マルチモード表面波を用いて得られた高精度な3次元S波速度構造モデルとその鉛直勾配から,リソスフェア-アセノスフェア境界(LAB)の空間分布を復元し,上部マントルのダイナミクスを理解する上で最も重要な境界層であるLABの空間分布を明らかにすることを目的としている. これまで開発を進めてきた,S波速度モデルとその鉛直勾配からLABの深さ及び厚さの分布を推定する手法を,特に高精度な3次元モデルが得られた豪州大陸域に適用し,3次元異方的速度構造モデルから得られる安定大陸のLABについて詳細な検討を行った.その結果,太古代のクラトン域(特に西豪州クラトン)の直下において,LABの深さが突出して深くなり(200km以深),その厚さは50km以上に渡って漸移的に変化する境界層であることが分かった.一方,大陸東部ではLABが浅くなると共に,大きな速度勾配が見られ,シャープな境界層を持つことが分かった.さらに,大陸中央の縫合帯直下のリソスフェア内には,顕著な鉛直異方性(SH波の高速異常)も見られた.最近の岩石学的研究から,この地域は10億年以上前の大陸集合直後に高温状態となったことが報告されており(Smithies, et al., 2011),当時の影響が保存されたものと考えられる.これらの成果は,複数の国際・国内学会において発表を行い,国際学術誌に投稿し,現在改訂中である. 一方,速度モデルの更なる高精度化に向け,新しい2観測点間の波形フィッティング法の開発も行い,米国の高密度観測網に適用し,その有効性を示した.この手法では, 1000km以下の短い波線の情報を大量に収集することができ,従来の一点法に基づくモデルに比べて,空間分解能を約1.5~2倍にまで上げることが可能となった.この波形解析手法と北米大陸の速度モデルについては,現在,国際誌に投稿中である.
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Research Products
(10 results)