2013 Fiscal Year Research-status Report
火山噴火の爆発性とマグマの変形集中の定量的関係の解明
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24740299
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥村 聡 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40532213)
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Keywords | マグマ / 脱ガス / 変形集中 / 火山噴火 / 変形実験 |
Research Abstract |
本研究ではマグマの流動・変形と脱ガス効率の定量的関係を明らかにすることで,火山噴火の爆発性を支配する要因を解明することを目的としている.前年度までに,流動するマグマ中で変形が進むと変形集中が起こり,変形集中部で脱ガス効率が高くなるが,それ以外の部分での脱ガス効率は上昇しないことが分かってきた.さらに変形集中部では,局所的に変形歪速度が上昇するためマグマの破砕が起こり,すべり面が形成されることも示された.今年度は同様の実験を継続し行った.その結果,変形集中によって形成されたすべり面は,温度,圧力,変形速度次第で回復し,再度粘性流動することが分かった.すべり面を利用した摩擦すべりでは変形集中帯以外の領域での脱ガスを抑制するのに対して,粘性流動へ遷移すると均質変形によりマグマ全体で気泡ネットワークが形成され脱ガスが起こる.さらに今年度は結晶と気泡を含んだメルト(固気液三相)の変形実験も開始した. 天然試料については,変形集中帯とそれ以外の部分について結晶や気泡の微細組織の観察を進めた.十和田火山毛馬内火砕流中の黒曜石と軽石はほぼ同じ含水量であるが,気泡組織に大きな違いがあった.黒曜石は発泡度が低く気泡は変形し歪な形状をしているが,軽石は良く発泡しており気泡は丸い.この観察結果から黒曜石は変形集中が起こり脱ガスが進行した領域,軽石はそれ以外の領域のマグマから形成されたと推測される.一方で,雲仙普賢岳平成溶岩では,火道壁付近および火道中心付近から得られた溶岩で変形組織に大きな違いが見られなかった.どちらも発泡度は非常に低く,流動・変形以外の効率的な脱ガスを引き起こすメカニズムが存在することが示唆される.来年度はこの点もふまえて,固気液三相系の変形実験を進める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験,天然試料の解析ともほぼ予定通りに進んでいる.固気液三相系の実験については,出発物質の合成にやや時間を要したが,それらについてもほぼ解決されている.また,予想外の成果(変形集中帯の粘性変形と摩擦すべりの遷移など)も出ている.以上から,研究実施計画をおおむね順調に実施できたと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
天然試料の解析結果を発表し,また実験と天然から総合的なモデルを提出し発表する.
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Research Products
(10 results)