2012 Fiscal Year Research-status Report
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24740302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 愛太郎 東京大学, 地震研究所, 助教 (20359201)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 前震活動 / ゆっくり地震 |
Research Abstract |
過去約10年間に日本列島内で発生したマグニチュード約5.0以上の本震に対して、その地震の発生前後の連続波形記録を収集した。過去の記録が収録されたメディア(DATあるいはHDD)を作業用PCに取付け、外付けHDD等のデータ収録先へ連続波形記録のデータ複写をおこなった。この作業を繰り返すことで、計約900日分の連続波形ファイルを取得した。同時に、それぞれの複写対象ファイルに時間的に最も近接した観測点情報(チャンネル表)の複写もおこなった。また、エンベロープ相関法のコード開発をおこない、気象庁一元化処理震源には含まれていない地震の震源決定が可能となった。さらに、地震活動検出の高速化を計るために、波形相互相関処理の計算プログラムの改良をおこない、従来に比べて短時間でのイベント検出が可能となった。 収集した連続波形記録を用いて、2007年3月25日に発生した能登半島地震(M6.9)の発生直前に見られた前震活動について調べた。気象庁一元化処理震源によると、本震発生の約12分前に1個の前震活動(M2.0)が報告されている。この地震波形をテンプレートイベントに用いて、連続波形データに対して波形相互相関処理を施した。その結果、本震発生直前の12分間に4個のイベントが検出された。これらの震源を相対走時差法により再決定したところ、本震の初期破壊開始点の極近傍(数百m以内)で発生していたことが明らかとなった。また、2008年5月7日に発生した茨城県沖のプレート境界型地震(M7.0)の発生前に、群発的な地震活動が生じたことが気象庁一元化処理震源によって報告されている。この前震活動に対しても同様な波形相互相関処理を施したところ、本震の震央に向かう前震活動の移動が見られた。これらの地震活動度は、本震の発生に向かって顕著な増加を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連続波形記録の複写作業に若干の遅れはあるが、作業はおおむね計画通りに進んでいる。エンベロープ相関法のコード開発と波形相互相関処理の計算プログラムの改良・高速化もおおむね計画通りに達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
解析対象となる残りの連続波形記録の複写作業を継続する。同時に、過去約10年間に日本列島内で発生したマグニチュード約5.0以上の本震に先行する地震活動の解析を開始し、検出限界に迫る新たな前震カタログを構築する。この新たな前震カタログを系統的に分析することで、前震活動の移動速度、相似地震の検出、地震活動の特徴を抽出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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