2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24740302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 愛太郎 東京大学, 地震研究所, 准教授 (20359201)
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Keywords | 前震 / ゆっくり地震 |
Research Abstract |
過去約10年間に日本列島で発生したマグニチュード約6.5以上の本震に対して、気象庁一元化震源情報を用いた波形相関処理によるパターン検索を適用することで、本震前の地震活動をより正確に捉えることに成功した。例えば、2008年5月の茨城県沖プレート境界型地震M7.0の発生約3日前から、本震の破壊開始点付近で地震活動度が顕著な増加を示した。特に、約半日前からは地震活動度の更なる活発化が生じ、同時に本震の破壊開始点への前震域の拡大が見られた。上記の前震活動中には小繰り返し地震の活動も含まれており、本震発生前に破壊開始点付近でゆっくり滑りが生じていたと解釈できる。さらに、この前震活動のb値は0.5程度と通常の値に比べて有意に小さな値を示した。2005年8月の宮城県沖地震M7.2、2008年12月の福島県沖地震M6.6、2010年3月の福島県沖地震M6.7の発生数日前からも、震源域近傍の地震活動の若干の増加が見られた。 2013年2月の栃木県内陸地震M6.3の発生前に、本震の破壊開始点近傍(1㎞以内)で東側に高角に傾斜する幅約1 kmの面上に分布する前震活動が見出された。前震活動は本震発生の約2日前から開始し、約1時間前からは更なる活発化を示した。同時に、本震の破壊開始点へ向かう深さ方向への震源移動も確認され、ゆっくり滑りの伝播が起きたと解釈できる。この前震活動のb値も低いという特徴を有する。また、2008年6月の岩手・宮城内陸地震M7.2、2007年3月の能登半島地震M6.9、2009年8月の駿河湾地震M6.5の発生直前にも規模の小さな前震活動が本震の破壊開始点近傍で発生した。これらの前震の地震波形は相互に類似性が高いため、ほぼ同じ場所で類似の滑りが繰り返し発生していたと考えられ、小規模なゆっくり滑りが起きていた可能性が挙げられる。
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