2012 Fiscal Year Research-status Report
二重拡散対流で駆動されるダイナモとコアの成層構造の理解
Project/Area Number |
24740303
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 太 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20467012)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地球ダイナモ / コア / 二重拡散対流 |
Research Abstract |
地球コアのダイナミクスをより精密にモデル化するために熱対流と組成対流を同時に組み込んだ数値モデルを作成し、二重拡散系での地球型ダイナモの数値シミュレーションを可能にした。熱的プラントル数を0.1、組成的プラントル数を1とし、磁気プラントル数を3に固定した。従って熱拡散率と組成拡散率の比は(熱拡散)/(組成拡散) = 10となる。エクマン数は0.0003、0.0001の二通りとした。以上の条件で熱的、組成的レイリー数を変化させてダイナモの数値シミュレーションを行った結果、熱と組成によるダイナミックな寄与の割合によって生成される磁場の形態が大きく異なってくることが分かった。組成対流の割合が大きい場合には地球磁場のような双極子型のダイナモが得られるのに対して、熱対流による寄与が卓越する場合には非双極子型のダイナモが実現した。流れ場の構造を調査した結果、熱対流が卓越する場合にはレイノルズ応力によって帯状流が効果的に生成され、回転軸に沿って柱状対流が発達するのを妨げていることが明らかになった。その結果、流れ場のヘリシティが減少し、双極子磁場を効率良く生成することが出来なくなり、非双極子磁場が卓越するという一連のメカニズムを明らかにすることが出来た。 これらの結果から、現在の双極子型の地球ダイナモに対する組成対流の寄与の下限値として30%という値を得ることが出来た。更に本研究結果から、現在よりも固体内核が小さく熱対流による寄与がより大きかったであろう過去の地磁気の形態が非双極子型であった可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多くのシミュレーションにおいて、平衡状態に落ち着いた解が得られるまでに、予想されたものに対して数倍程度の計算時間を必要とした。これが研究の主な律速過程となり、パラメータに関する探査には予想以上の時間がかかった。しかしながら、二重拡散対流が解に与える効果が当初の期待に比べ非常に劇的なものであったことから、解の比較、特徴づけ及びメカニズムの解析等を比較的容易に行うことができた。こうした事柄が、数値実験には時間を要したが、研究が概ね順調に進展した大きな要因であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
定常状態の解を得るために必要な計算時間が非常に長くなるような場合には注意を要する。本年度の研究結果から、どのような場合に計算時間がかかるのか、おおよその条件をつかむことができたので、そのような条件での計算を少なくすることで一つのパラメータに対する総計算時間を減らして、パラメータ探査を効率よく行えるようにすることを考えている。本年度の研究結果に基づくと、計算時間が長くなるような条件を避けても今後の研究の推進に大きな影響は無いと考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度においては計算コードの最適化を進め、必要な計算機使用時間をわずかながら短縮することができた。その結果、計算機使用料が当初の予想に比べて低くなった。以上のような状況で少額ながら研究費が未使用となった。次年度では引き続きパラメータ探査を更に幅広く行う必要があるので、今年度未使用の研究費を含めて計算機の使用料に多くの研究費を使用することを計画している。データ保存用のHDD購入、研究成果公表のための国内、海外(1回)学会参加のための旅費、及び論文の出版費用にも使用する。
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