2013 Fiscal Year Research-status Report
既知のメカニズムから予測される地震波伝搬時磁場変動と実際の磁場変動の比較
Project/Area Number |
24740304
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 健一 京都大学, 防災研究所, 助教 (20436588)
|
Keywords | 応力磁気効果 / 地震 / 地磁気 |
Research Abstract |
(1)大地が一様な電気伝導度を持つ場合について,線状に並んだ電流あるいは磁化が時間変化する場合にそこから生じる電磁場の表現式の一般形を求めた。当初(計画時)には周波数領域でのみ解を求めることを考えていたが,フーリエ変換を閉じた形で求めることができたため,観測値との比較においてより有効な時間領域での解を求めることができた。この結果を,学術雑誌に投稿する準備を現在進めている。 (2)得られた表現式を用いて,これまでに報告されている磁場変動の中で,理論値と計算値が十分には一致していないために生成原因が同定できないものについて,簡単な再計算を行った。その結果,先行研究で生成原因と推定されていた応力磁気効果が,実際に生成原因である可能性が高まった。これは,地震時磁場変動がどのような原因から生じるのかを考える上での重要な材料となるのに加えて,「地震発生を電磁場変動でとらえることができるか?」という疑問に答えるうえでも重要な判断材料になると期待できる。なお,当初予定していたデータ以外にも,東北地方太平洋沖地震の際に解析対象となりうるデータが国内の研究機関により得られていたことがわかったため,現在データが利用可能か相手方と打合せをすすめつつある。上記結果は,この追加データが利用可能か否かが確定し,可能ならば追加解析も行ったうえで,誌上等で発表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画は「地震時電磁場変動の表現式の導出」と「観測値と理論値の比較」、および「結果の発表」よりなる。 電磁場変動の表現式については、当初計画していた周波数領域解だけでなくより有効な時間領域解を得ることができたという点で,当初の計画以上に進んでいると評価できる。 観測値と理論値の比較については,あるていどの結果を得たため,これもおおむね順調と評価できる。 ただし,追加すべきデータがあることが研究開始後にわかったため,現在データ取得機関との交渉をすすめており,可能ならば最終的な結果をまとめるのを保留している。そのため,結果の発表には至っていない。 計画は結果をまとめて発表するところまでで完成するため,全体評価は「やや遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
前項に記載した通り,解析対象としうるデータの存在がわかり,その利用について観測機関と交渉しているので,交渉が終了したのちに可能ならば追加解析を実施し,速やかに最終結果のとりまとめに進む。なお,この実施のために,当初2年であった本計画実施期間は1年延長した。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたもののほかにも利用可能なデータがあることがわかったので、最終的な結論を誌上等で発表することを翌年に延ばした。そのため,これに必要となる費用を次年度使用のために残した。 成果発表(学会出席のための旅費,および論文投稿料)にあてる予定である。
|