2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24740305
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 陽一郎 京都大学, 防災研究所, 助教 (80466458)
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Keywords | 巨大地震 / 合成開口レーダー解析 / カルデラ / 数値シミュレーション / 火山 |
Research Abstract |
差分干渉合成開口レーダー(InSAR)解析を行い、5つの火山地域(秋田駒、栗駒、蔵王、吾妻、那須)に東北地震に伴う局所的な沈降を確認した。これらの地域では地熱活動が活発であり、近傍にカルデラを伴うことも明らかになった。そこで、沈降域の地下に巨大かつ高温の深成岩体が存在し、それらが東北地震に伴う東西引張センスの応力変化によって局所的に変形したと考え、これによる地表変形を数値計算で調べた。液相の三軸不等楕円体の媒質が弾性体中に存在する場合を境界要素法で計算し、InSAR解析の結果を良く説明した。本年度はGEONETの30秒サンプリングデータを用いて沈降の時間スケールを調べ、沈降が1日以内でほぼ完了したことを明らかにした。この結果は地下水の移動が直接沈降を引き起こしたという説を否定する。以上の内容をNature Geoscience誌に発表した。この成果は新聞などによって広く報じられた。本年度は楕円体の中身をヤング率の低い弾性体に改良し、有限要素法を用いて計算を行い、InSAR解析の結果と整合的な沈降パターンを得た。沈降が効率的に引き起こされるためには、楕円体の長軸の向きが地震により引き起こされる引張応力の主軸と直交する必要がある。ヤング率が低い領域を球、楕円体、そして長軸を極限まで長くした二次元問題(断面は円形)と変えて計算を行い、楕円体の長軸が長いと2次元問題の解に漸近することを明らかにした。すなわち短軸が等しければ、楕円体は常に球より大きな地表沈降を引き起こすが、長軸をどんなに長くしても沈降量は一定値を越えない。2010年にチリで発生したマウレ地震でも火山の沈降が引き起こされたという報告に基き、この沈降をInSAR解析で再現し、東北地震による火山の沈降と比較した。結果をJournal of Disaster Researchに発表し、受理された。
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