2012 Fiscal Year Research-status Report
衝突クレーターの多様なエジェクタ地形の形成過程の解明
Project/Area Number |
24740307
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 絢子 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (20547252)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 衝突実験 / クレーター / エジェクタ |
Research Abstract |
神戸大学に設置されている垂直打ちの軽ガス銃を改良しつつ,弾丸の加速ガスがエジェクタに影響を与えにくいチャンバーの構造を模索した.以下の2種類の方法を試した. 1,ガス避けのフィンを制作し,銃身の先に設置した.チェンバー内大気圧を0.005~1気圧,衝突速度4~220m/s,に制御し, 50, 100, 500ミクロンのガラスビーズ標的へ衝突実験を行った.形成された様々なエジェクタ地形のうち,顕著な同心円リッジに着目し形成条件を求めた.同心円リッジは加速ガスを使わないスリングショットを用いた衝突でも観察された.高速度カメラでの観察や複数の予備実験や追加計測により,この同心円リッジは,弾丸が大気中を進行するときに発生する伴流が,クレーターのリムを崩すことでできる可能性が高いことを示した. 2,加速ガスを実験チャンバー内に逃がすサボストッパーを設計・制作した.その結果,弾丸直後にやってくる加速ガスは完全に排除できたが,サボストッパーを回り込んだ加速ガスが標的に到達してしまった.実験チャンバーとガス貯蔵チャンバーを完全に別にする必要があることがわかり,そのような衝突チャンバーを設計し一部を制作した. 加えて,揮発性を持つターゲットへの衝突の準備段階として,雪標的への衝突実験を行い,エジェクタ粒子の放出速度を計測した.規格化放出速度は,規格化放出位置のベキ乗で表されることが知られており[Housen and Schmidt, 1983],雪エジェクタにおけるこの係数とベキの値を決定した.また,クレーターの端付近ではこのベキ乗則から外れるが,外れる点での臨界放出速度が,標的強度の1/2乗に比例することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,サボストッパーを設置し,弾丸直後にやってくる加速ガスを排除すれば良いと考えていたが,実際はガス貯蔵チャンバーを別に設けなければいけないことがわかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究計画を実施する前に,まず昨年度から進めている新しい衝突装置の開発を行う.実験チャンバーとガス貯蔵チャンバーの2つのチャンバーを持つ部分は昨年度中に完成しているため,今年度は,サボストッパーの設計・製作から始める.サボが跳ね返らずきちんと詰まって止まるような形状の治具の開発が鍵となる.同時に,実験時の操作性にも配慮する.神戸大学の荒川政彦教授から,設計に関して引き続きアドバイスを受ける予定である. また,平成25年度の研究計画でもある揮発性物質への衝突実験を,北海道大学低温科学研究所で行う予定である.先方の研究所の共同利用に申請しており,使用が採択されている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新しい衝突装置の開発費を計上した.設計は自ら行い,製作は北海道大学低温科学研究所の技術工作室へ依頼する予定である. 揮発性物質への衝突実験に係る旅費を計上した. 昨年度行った,雪標的への衝突実験の結果について,学術論文の投稿を目指す.投稿料を計上した.
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