2013 Fiscal Year Research-status Report
衝突クレーターの多様なエジェクタ地形の形成過程の解明
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24740307
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
鈴木 絢子 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (20547252)
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Keywords | 衝突実験 / クレーター / エジェクタ |
Research Abstract |
本年度は,弾丸を加速するための圧縮ガスが標的に影響を与えない構造の縦型ガス銃およびチェンバーを設計・製作した. 1)<加速ガスを貯めるガス除去チェンバーとサボストッパーの導入> 実験チェンバー上部に,実験チェンバーとは別にガス除去チェンバーを,2つのチェンバーの間にはサボストッパーを設けた.弾丸はサボに載せて圧縮ガスで加速する.サボをサボストッパーに詰まらせ栓のようにすることで,圧縮ガスはガス除去チェンバーに溜まり,弾丸のみが実験チェンバー内に入り,標的に到達することになる. 2)<加速ガスの量を最低限にする高圧室および隔壁破裂システムの考案> 新しく「自由落下型」の隔壁破裂装置を考案した.これは,弾丸を発射する際,圧縮ガスを貯めておいた高圧室の隔壁を,自由落下させた針で破る方法である.針の付いた鉄製の円柱を,高圧室外側に取り付けたネオジム磁石で,高圧室内の上部に保持する.ネオジム磁石を取り除くと,針の付いた円柱が隔壁に向かって落下し,隔壁が破れて圧縮ガスが出て行く.これまでには,針をプッシュ型ソレノイドで動かして隔壁を破る方法があった.しかし,隔壁を破るのに十分な力で押すことのできるソレノイドを高圧室内に配置するため,高圧室が必要以上に大きくなってしまっていた.高圧室が大きいと,目的の圧力に達成するために多量のガスが必要になり,無駄が多い上に,エジェクタにも影響を与えやすい.また高圧室はショットごとに取り外すため,高圧室が大きく重いことで,取り回しがよりたいへんでケガ等の危険性が増すという難点もあった.自由落下型の隔壁破裂装置では,高圧室のサイズの制約は格段に緩くなるため,高圧室を目的の最小サイズにすることができ,これらの問題点が解決できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度圧縮ガスを除去するためには,実際はガス除去チェンバーを別に設けなければいけないことがわかったため,今年度はガス除去チェンバーを持った縦型ガス銃の開発・製作に充てた.平成26年1月より産前産後休暇を取得したため,テストショットを十分に行うことができていないが,縦型ガス銃は完成したため,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
まず縦型ガス銃およびチェンバーのテストショットを行い,圧縮ガスをどの程度除去できているか確かめる.煙による空気の流れの可視化や,粉体標的でのエジェクタ軌跡の可視化等を用いて判断する.圧縮ガスが漏れてしまう場合は,サボの材質やサボストッパーの形状を工夫して対応することを考えている. その後,揮発性物質の標的に対する衝突実験に取り組む.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は,交付申請書の計画から修正して実験装置の開発に充てたため,旅費が減少して物品費が増加した.そのやり繰りの結果,次年度使用額が生じた. 旅費に計上する予定である.
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