2016 Fiscal Year Research-status Report
衝突クレーターの多様なエジェクタ地形の形成過程の解明
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24740307
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
鈴木 絢子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究開発員 (20547252)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 衝突クレーター / エジェクタ / 軽ガス銃 / 衝突実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに自らが開発した縦型一段式軽ガス銃においては,発射時に円柱弾丸が回転してしまうという問題点があった。これを解決するため,直径8mmで長さを変えた(7,8,9,10,12,16mm)円柱弾丸を試作し,試射を行った。円柱弾丸の材質は高密度ポリエチレンとし,宇宙科学研究所の工作工場にて自ら試作した。試射の結果,チャンバーの真空度200~400Pa,加速ガス(窒素)の初期圧0.5MPaの条件で,円柱弾丸の長さが8mm以上であれば,回転せずに飛翔することがわかった。弾丸は軽いほど衝突速度が稼げるので,長さ8mmを採用した。 次に,円柱弾丸を用いて,雪標的に対する衝突クレーター形成実験を行った。実験は,神戸大学理学研究科惑星学専攻の荒川研究室所有の低温実験室にて,-15℃の環境下で行った。円柱弾丸は(有)エスバックへ製作を依頼した。雪標的の準備は以下のような手順で行った;まず,氷をバンドソーとブレンダーを用いて細かく砕き,ふるって710ミクロン以下の粒子のみにした。次にそれを袋詰めしたものを低温室内で3日間寝かせた。この行程は,より小さい粒子を昇華させることで,焼結度を制御しやすくするためである。この雪を金属容器(直径14cm,深さ13cm)に詰め,詰めてから5分,18分,75分経った標的へ衝突クレーター形成実験を行った。加速ガスは窒素で0.8MPaとした。できた衝突クレーターは,ピットとスポールを持つ,典型的な強度支配域クレーターとなった。現在,詳細な解析を行っている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縦型一段式軽ガス銃を用いて,低温室内で雪標的に対する衝突実験を実施することができた。研究成果創出までには,実験をさらに実施してデータを取得する必要があるが,平成29年度中に実施できる見込みであるため,おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に実施した実験の詳細解析を行い,結果をまとめる。結果は随時研究協力者と議論するほか,9月に大阪で開催される惑星科学会秋季講演会で発表し,議論を深める。 秋頃に次回の実験を計画している。焼結時間と衝突速度の範囲をより広げて実験を行い,現象の理解を深め,多様なエジェクタの堆積様式の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
産休・育休取得に伴う研究の一時中断があり,研究期間を2年延長し承認されたため。延長後の研究計画に照らし,おおむね順調に進捗している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験は低温実験室で行う必要があるため,神戸大学までの実験装置等の輸送費に充てる。実験で必要な消耗品等を購入する。また,実験結果の理解を深めるために,研究協力者と議論したり,学会や研究会でも発表するための旅費として使用する。
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Research Products
(3 results)