2012 Fiscal Year Research-status Report
大気レーダー・イメージング法を用いた水蒸気高度分布推定手法の高精度化と実用化
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24740321
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古本 淳一 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (10402934)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ウインドプロファイラ / 水蒸気 / リモートセンシング / 降雨 / 豪雨 |
Research Abstract |
本研究課題では、研究代表者が世界をリードして開発を推進してきたウインドプロファイラを用いた水蒸気推定手法を発展させ高精度化を計ることを目的している。特に現在まで未知数として残されていたレーダー探査領域内部の乱流充填率(F)を観測的に求めるため、最新のレーダー技術を適用した水蒸気高度分布を推定手法の開発を進めている。 周波数領域のレーダーイメージング法を行うことでレーダー探査領域内部の乱流位置の同定を行うことが可能となった。滋賀県甲賀市信楽町にあるMUレーダーを用いて観測を行い、レーダーイメージングを実施することで、乱流存在の有無のコントラストを際立たせて、乱流が存在する位置を同定することに成功した。 水蒸気推定を実施したところ、レーダーイメージングでは得られたエコー強度の保存性が悪いため、新たな鉛直分解能向上法が必要であことがわかった。このため、レーダーイメージングに代わる新しい手法をウインドプロファイラ観測に取り入れる手法開発に着手した。。 レーダー探査領域を重ね合わせながら観測を行うオーバーサンプル手法を用いて、重なりの異なるデータを併用することで鉛直分解能を向上する手法の開発をすすめ、試験観測データを得ることに成功した。同時に高鉛直分解能ラジオゾンデとの同時観測も実施した。この初期解析結果は良好でありより高い分解能での水蒸気推定が可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では当初周波数領域のレーダーイメージング法を行うことでレーダー探査領域内部の乱流位置と強度を定量的に求めることで、水蒸気推定精度を向上させることを目的としていた。実際のレーダーイメージングでは得られたエコー強度が保存しないため、水蒸気推定には適しないことが判明したが、新たにオーバーサンプル手法を用いて鉛直分解能を向上する手法の開発をすすることで研究の進捗には遅れは発生していない。 新手法により試験観測データを得ることに成功しただけでなく、同時に高鉛直分解能ラジオゾンデとの同時観測も実施できたためおおむね順調に達成していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題で新たに提案するオーバーサンプルによるレーダー分解能向上手法では、従来レーダーイメージングが適用できなかった雨滴の高分解能分布にも適用が可能である。 水蒸気は地球大気中では微量分子に過ぎないが、その相変化に伴う潜熱は、集中豪雨など時に災害をもたらす激しい気象現象を駆動する主要なエネルギー源である。本手法では水蒸気という降水現象のソースと結果となる降雨現象を同時に観測することが可能となる。こういう観点で当初の計画の想定を超える大きな可能性も見えてきており、梅雨期に集中的に観測を実施して、強い降水時の水蒸気と降水の同時観測を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
観測用消耗品に約70%、論文出版費に20%、その他10%の支出予定を計画している。
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Research Products
(3 results)