2012 Fiscal Year Research-status Report
準結合同化システムのブリーディング法による海洋観測システム評価研究
Project/Area Number |
24740324
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
藤井 陽介 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 主任研究官 (60343894)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 海洋観測システム / 海洋データ同化 / アルゴフロート / 係留ブイ / 結合ブリーディング / 結合同化 / 感度解析 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本年度は、気象研究所データ同化システムの同化解析精度に対する、観測データのインパクトについて評価を行った。具体的には、気象研究所全球海洋データ同化システムを用いて、通常利用可能な観測データから、全フロートデータの20%,40%,…,100%を除外してから同化計算をする実験(計5通り)を行い、いずれの実験でも用いていない20%のフロートデータを参照データとして、各実験間の同化解析値の精度を計算し、その比較から、フロート、及び、ブイの解析精度に対するインパクトを評価した。その結果、アルゴフロートのインパクトは全体的には塩分に対して大きいが、温度躍層付近の水温に対しても大きなインパクトがあること、アルゴフロートを増やすに従って、観測データを新たに増やした効果は小さくなっていくことなどが、明らかになった。 また、準結合同化システムを用いて、ブリーディング法を実施するにあたって、大気、海洋のどの成分に擾乱を与えることが可能か検討し、実際に擾乱を与えて、システムが正常に動作するようにプログラムを改修した。ブリーディング法をより発展させたアンサンブル作成手法である、アンサンブル変換法についても、文献調査を行った。 さらに、海面高度計20周年記念特別シンポジウム、及び、第4回アルゴシンポジウムに出席して、本研究のこれまでの成果である海洋データ同化システムに対するアルゴフロートのインパクトについて発表し、海面高度計、アルゴフロート観測の専門家と観測システム観測システム評価に関する意見交換を行った。また、CLIVAR-GSOPワークショップに出席し、気象研海洋データ同化システムの現状について発表すると共に、研究協力者の一人であるヨーロッパ中期気象センターのM. Balmaseda博士等と、今後の海洋観測システム評価研究の方向性について、意見交換を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、同化するアルゴフロートの数を変化させた結果と、同化していないアルゴフロートのデータを比較することにより、同化のインパクトを検証する実験・解析を実施した。また、準結合ブリーディング法を実施するためのプログラムの整備なども、当初の予定通り、実施している。海面高度計20周年記念特別シンポジウム、第4回アルゴシンポジウム、CLIVAR-GSOPワークショップにも当初の予定通り出席し、本研究の成果についても発表すると共に、今後の観測システム評価研究に関する意見交換も行った。 以上の通り、これまで本研究は予定通り進展しているが、これまでの本研究の進展、及び、世界的な研究の進展の結果、観測データのインパクトを評価の手法として、アンサンブル変換法やアジョイント法を用いることがより効果的である可能性もあることが、わかってきた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も、当初の予定通り、アルゴフロートデータの一部を除外して同化・予報シミュレーションを行い、除外したデータによりその解析精度を検証する実験と、準結合ブリーディングシステムの開発、及び、それを用いた観測インパクト実験を中心に研究を行い、その成果を、世界気象機関・UNESCO政府間海洋学委員会合同海洋・海上気象専門委員会全球海洋データ同化実験海洋概観プロジェクト(GODAE Ocean View)観測システム評価タスクチームの作成する観測インパクト声明に反映させるなど、今後の海洋観測システムの維持や効率的な配置に必要な知見を観測実施機関や一般社会に提供することを目指していく予定である。加えて、これまでの本研究の進展、及び、世界的な研究の進展の結果、観測データのインパクトを評価の手法として、アンサンブル変換法やアジョイント法を用いることがより効果的である可能性もでてきたので、今後、それらの手法を本研究で導入する可能性についても検討していきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、CLIVAR-GSOPとGODAE Ocean Viewの合同ワークショップ、GODAE Ocean Viewのシンポジウム、及び、GODAE Ocean View観測システム評価タスクチームのワークショップに出席し、研究発表を行うと共に、観測システム評価タスクチームリーダーのP. Oke博士、ECMWFのM. Balmaseda博士らと、議論を行う予定であり、そのための旅費を科研費より支出する。また、議論で必要なデータの持ち運び、交換のための記憶媒体についても、必要に応じて購入する予定である。
|