2012 Fiscal Year Research-status Report
ブラソフモデルに基づく次世代プラズマシミュレーション技法の研究
Project/Area Number |
24740338
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
簑島 敬 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 研究員 (00514811)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 宇宙プラズマ / ブラソフシミュレーション |
Research Abstract |
宇宙プラズマの第一原理シミュレーション研究手法の一つとして提案されているブラソフシミュレーションは、特に大規模計算における有用性が認識されているものの、高度な数値的技術が要求されることから、その開発研究は未熟である。そこで本研究計画では、ブラソフシミュレーションのための新たな計算手法であるマルチモーメント移流法を開発している。本手法は、物理量とその2次までのモーメントを合わせて更新することにより、ブラソフシミュレーションに必要不可欠な移流・回転問題を長時間極めて高精度に解く手法である。 これまでの研究で、1次元・2次元コードの開発を完了したので、平成24年度はまず、3次元スキームの開発を行い、テスト計算から良好な結果が得られたので、実空間1次元+速度空間3次元のブラソフシミュレーションに適用した。プラズマ線形波動の伝播問題や非線形波動の不安定性を解き、期待通りの性能が得られた。以上の結果をJournal of Computational Physics誌において発表した(Minoshima et al. 2013, 236, 81)。 さらに、これまで開発してきたマルチモーメント移流法をより扱いやすい形式にするために、新たに有限体積型マルチモーメント移流法を3次元まで開発した。テスト計算から、新手法は従来の手法と同程度の性能を保ちながら、安定性の大幅な向上と、シミュレーションコードの平易化に成功した。現在は新手法を実空間2次元+速度空間3次元のブラソフシミュレーションに適用し、性能評価を行なっている。これまでの所、期待通りの良好な結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の予定通り、平成24年度は3次元マルチモーメント移流法を開発し、ブラソフシミュレーションへ適用した。これらの結果を査読付き論文として報告した。さらに、コードの改良型として有限体積型マルチモーメント移流法の開発に成功した。現在は本手法をブラソフシミュレーションに適用し、良好な結果が得られている。以上のことから、本研究計画は当初の計画以上に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降は、実空間2次元+速度空間3次元の超多次元ブラソフシミュレーションコードの開発と性能評価を行い、実用的なプラズマ現象への適用する。コードの安定性と平易さを考慮して、平成24年度に開発した有限体積型マルチモーメント移流法を用いる予定である。コードの性能評価として、九州大学情報基盤研究開発センター研究用計算機システムを用いて、並列化率や実効性能の測定を行う(平成25年度先端的計算科学研究プロジェクトとして採択されている)。 対象とするプラズマ現象としては、磁気リコネクションを考えている。ブラソフシミュレーションは粒子法に比べて数値ノイズが少ないため、これまでのシミュレーション研究でははっきりできないリコネクション下流域の構造(スローモード衝撃波や乱流)の同定を目指す。また、リコネクションに伴う非熱的粒子加速の検証も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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