2013 Fiscal Year Research-status Report
ブラソフモデルに基づく次世代プラズマシミュレーション技法の研究
Project/Area Number |
24740338
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
簑島 敬 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 研究員 (00514811)
|
Keywords | 宇宙プラズマ / ブラソフシミュレーション / 磁気リコネクション |
Research Abstract |
宇宙プラズマの第一原理シミュレーション研究手法として提案されているブラソフシミュレーションは、特に大規模計算における有用性が認識されているものの、高度な数値計算技術が要求されることから、その研究開発は発展途上である。そこで本研究計画では、ブラソフシミュレーションのための新たな計算手法であるマルチモーメント移流法を開発し、超多次元ブラソフシミュレーションへの適用を目指している。 平成24年度は、これまでに開発した手法を改良した有限体積型マルチモーメント移流法を開発し、その性能評価を行った。平成25年度は、本手法を実空間2次元・速度空間3次元の5次元電磁ブラソフシミュレーションに適用し、その性能評価を行った。シミュレーションコードは超並列スーパーコンピューター上での運用を念頭に置き、MPIとOpenMPのハイブリッド並列を施した。九州大学情報基盤研究開発センターの高性能演算サーバ上でコードの性能測定を行い、極めて優れた結果を得た。 さらにこのコードを用いて、宇宙プラズマの普遍的現象である磁気リコネクションの数値実験を行った。過去の粒子法による計算結果と比較し、マクロな流体量について数値ノイズの少ない良好な結果を得た。加えて、リコネクションに伴う粒子加速や加熱の結果生じる複雑な分布関数の記述にも成功した。以上の計算から、我々のブラソフシミュレーションコードが、実問題に十分適用できる高解像度な技術であることが示された。 以上の結果を論文としてまとめ、Computer Physics Communications誌に投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来のマルチモーメント移流法を改良した有限体積型マルチモーメント移流法を開発し、実空間2次元・速度空間3次元の電磁ブラソフシミュレーションに適用した。そして研究実施計画で予定していた、磁気リコネクションのブラソフシミュレーションを行い、良好な結果を得た。以上の結果を論文としてまとめ、現在論文投稿中である。これらのことから、本研究計画は当初の計画以上に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、磁気リコネクションの数値実験をさらに進め、リコネクション現象のプラズマパラメータ依存性を調べる。また、空間スケールを広げた大規模計算を行い、流体スケールでのリコネクションによる散逸過程を第一原理シミュレーションに基づいて調べる。 その一方で、利用できる計算機資源は有限なので、第一原理ブラソフシミュレーション手法を用いたマクロスケール計算は限界がある。そこで、第一原理シミュレーション手法と磁気流体シミュレーション手法を接続し、計算機資源を効率的に用いて大規模シミュレーションを行うブラソフ-MHD連結階層プラズマシミュレーションモデルの開発に着手する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費として使用する予定だったが、他財源による支給があったため。 旅費、ないしは物品費として使用する。
|