2012 Fiscal Year Research-status Report
海溝型地震発生機構の理解:シリカ・粘土続成作用からのアプローチ
Project/Area Number |
24740339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀田 純 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40568713)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海溝型地震 / 続成作用 / 珪質堆積物 / Costa Rica |
Research Abstract |
今年度は、主にコスタリカ沖中米海溝を対象として、インプットサイトにおける珪質堆積物の鉱物組成分析を実施し、海溝内部における脱水作用と地震発生との関連性について考察を進めた。 IODP第334次航海(CRISP)では、コスタリカのオサ半島沖に測線を設定し、海溝インプットサイトであるココスプレート上面(U1381)および前弧域の3地点において掘削が実施された。U1381の岩相は、上から粘土に富む半遠洋性粘堆積物(Unit1)、珪質の遠洋性堆積物(Unit2)および玄武岩質の基盤岩(Unit3~8)からなる。XRD法による全岩鉱物組成の定量分析を行うため、堆積物と含スメクタイト玄武岩それぞれについて割合の異なる標準混合試料を作成し、マトリックス効果を加味した検量線を作成した。この検量線をもとに定量分析を行った結果、半遠洋性堆積物では、約50%のスメクタイトと約30%の生物起源シリカが含まれることが分かった。遠洋性堆積物では、スメクタイトなどの陸源物質はほとんど検出されず、生物起源の方解石(約40%)とオパール(約50%)のみからなることが分かった。一方、基盤岩の中では、低温変質作用によるサポナイト化が進行しており、サポナイトの含有量は20~40%程度であった。 堆積物の圧密挙動と粘土およびシリカの続成作用から生成される流体量を見積もると、100℃付近より深部においては鉱物続成作用の排水がより支配的になることが明らかなった。さらに、半遠洋性堆積物からの排水は、水平距離にして約80kmにわたる広い領域において異常間隙水圧をもたらすことが示唆された。ただし、このような異常間隙水圧の発達と地震発生との関連性については、さらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標として、珪質の非晶質成分を含む堆積物の定量分析法の確立を設定していた。XRDによる結晶相の定量と合わせて、クーロメトリー法(方解石含有量の測定)を併用することで、上記の目標をおおむね達成することができた。また、この手法を用いて、コスタリカ沖中米海溝におけるインプット堆積物の定量分析をほぼ終えることができ、課題研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の結果から、コスタリカ海溝では半遠洋性堆積物中で約30%、遠洋性堆積物では50%超の生物源シリカが含まれていることが明らかとなり、このことが沈み込み帯内部の流体循環や地震発生と密接に関連していることが検証されつつある。これらを踏まえると、生物源シリカの水和・脱水素過程や変形機構についての理解は不可欠と考えられる。今年度以降では、当初の計画に加え、掘削試料および非晶質シリカ標準試料を対象とした水熱その場観察実験や摩擦実験を組み込んで、本研究課題のさらなる発展 をはかりたい。また今年度は日本海溝の試料についても分析を開始する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時当初の予定通り、シリカ系鉱物の水熱実験のための試料や反応セル、反応容器の費用および得られた結果をまとめ、学会や誌上での成果発表にかかる費用として計上する。
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Research Products
(5 results)