2012 Fiscal Year Research-status Report
低緯度ー中緯度遠洋域における史上最大の大量絶滅発生時とその回復過程の環境変動
Project/Area Number |
24740340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 聡 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60615251)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大量絶滅 / 遠洋域深海相 / ペルム紀 / 三畳紀 / 付加体 / 同位体 / 有機地球化学 |
Research Abstract |
ニュージーランド北島における調査を2012年2月29日~3月14日に行った。結果、モツタプ島から2つの地層連続体を確立した。また、岩手県岩泉町において,6月14日~20日、9月29日~10月12日の2回に分けて調査を行い、およそ4m分の岩相層序を確立し、試料を採取した。採取した試料から研磨面・薄片を作成し、小断層の記載や生物擾乱の記載を行った。 試料からコノドント化石を探し出し年代を検討した。その結果、ニュージーランドの層序は、中期三畳紀はじめのもので、岩手で採取した層序の上限が前期三畳紀であることが判明した。 抽出した微量元素溶液をアメリカアリゾナ州立大学に送り、モリブデン同位体比(97Mo/95Mo)を測定した。その結果、ペルム紀末の堆積性モリブデンの安定同位体比は0.65‰という値を示した。この値は、還元的な海洋底がほぼ全海洋に広がっていたことを示す。今後、測定点を増やして詳細を検討する予定である。岩手県で採取した試料のレアアースエレメントの組成を解析した。その結果、ユウロピウムに乏しく質量の重いレアアースエレメントが多いという特徴の層準が見いだされ、南中国で報告されている大量絶滅直前後の火山灰層と組成が一致する。このことは、大量絶滅時期に大規模火山活動が発生していたことを示すものである。岩手県で得られたペルム紀末の珪酸質岩石を酸処理し、残渣として得た非可溶性有機物を用いて、有機分子化石を得る分析を試みた。超音波による溶媒抽出では効果的な反応は得られなかったが、クロム酸酸化による化学処理によってバクテリオクロロフィルc,dに起源物質を求められるフタレイミドを検出することに成功した。岩手県のペルム紀末の層序に見出されたモリブデン濃度の上昇について研究成果を論文にまとめて国際誌(Earth and Palnetary Science Letter) に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画したほとんどの各研究項目について成果をあげることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
成果が見え始めた、モリブデン同位体比変動記録データ、火山灰層の認定についてのデータを優先して確立させることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)ケロジェンの安定炭素同位体比の測定:質量分析計を用いてケロジェンの安定炭素同位体比を測定し、各地層セクションの炭素同位体比変動曲線を明らかにする。 (2)多量元素・微量元素の定量:粉末試料を加圧成形し、XRF装置を用いて多量・微量元素成分の濃度を測定する。得られた値より、砕屑物の寄与量(アルミ等)や溶存酸素(酸化還元)環指標であるクロムの濃度を算出する。 (3)堆積岩試料の微量元素の抽出・定量:粉末試料を酸分解処理し、ICP-MS分析装置を用いて微量元素成分の濃度を定量する。 (分析機器協力:山崎 慎一 東北大学研究員)。 得られた値より溶存酸素(酸化還元)環指標であるバナジウム、モリブデン、ウランの濃度を砕屑物の寄与量で規格化して算出する。 (4)還元的海洋発達規模の推定:モリブデン同位体比の分析 ICP-MS分析で作成した酸分解溶液をMC-ICP-MSで分析し、モリブデン同位体比を測定する。得られたモリブデンの同位対比組成の大量絶滅期前後の変動から、当時の海水のモリブデン同位体比値を得る。当時と現在の海水モリブデン同位体比との値の比較から、ペルム紀末大量絶滅時の還元的海洋の発達が当時の海洋の何割を占めていたのか推定する。(分析機器協力:Ariel Anbarアリゾナ州立大学教授) (5) 非可溶性有機物(ケロジェン)から有機分子化石の抽出:堆積物試料から得たケロジェンから有機溶媒を用いて可溶性有機物を抽出する。抽出物をGC-MSを用いて分析し、各種の有機分子化石を同定・定量する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Sulfur isotope profiles in the pelagic Panthalassic deep sea during the Permian-Triassic transition2013
Author(s)
Satoshi Takahashi , Kunio Kaiho , Rie Hori , Paul Gorjan , Takahiro Watanabe, Satoshi Yamakita , Yoshiaki Aita , Atsushi Takemura , K. Bernhard Sporli, Takeshi Kakegawa , Masahiro Oba
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Journal Title
Global and Planetary Change
Volume: 105
Pages: 68-78
Peer Reviewed
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[Journal Article] Changes in depth-transect redox conditions spanning the end-Permian mass extinction and their impact on the marine extinction: Evidence from biomarkers and sulfur isotopes2012
Author(s)
Kunio Kaiho, Masahiro Oba, Yoshihiko Fukuda, Kosuke Ito, Shun Ariyoshi, Paul Gorjan, Yuqing Riu, Satoshi Takahashi, Zhong-Qiang Chen, Jinnan Tong, Satoshi Yamakita
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Journal Title
Global and Planetary Change
Volume: 94-95
Pages: 20-32
Peer Reviewed
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[Presentation] Paleontological and Geochemical Studies of the Latest Permian-Early Triassic Deep-Sea Sedimentary Rocks
Author(s)
Satoshi Takahashi, Kunio Kaiho, Masahiro Oba, Satoshi Yamakita, Noritoshi Suzuki, Masayuki Ehiro, Takeshi Kakegawa, Shin-ichi Yamasaki, Yasumasa Ogawa, Kazuhiko Kimura, et al.
Organizer
B-06, GCOE symposium 2012 Achievements of G-COE Program for Earth and Planetary Dynamics and the Future Perspective
Place of Presentation
Miyagi, Japan, Tohoku University
Invited
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[Presentation] Causes and process of macroevolution and mass extinction
Author(s)
Kunio Kaiho, Masahiro Oba, Minori Kikuchi, Naoto Senba, Atena Shizuya, Zhong-Qiang Chen, Jinnan Tong, Satoshi Takahashi, et al.
Organizer
GCOE symposium 2012 Achievements of G-COE Program for Earth and Planetary Dynamics and the Future Perspective
Place of Presentation
Miyagi, Japan, Tohoku University
Invited
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