2013 Fiscal Year Research-status Report
天然ガスを含むクラスラシル鉱物の生成機構に関する研究
Project/Area Number |
24740359
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
門馬 綱一 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究員 (30552781)
|
Keywords | シリカ鉱物 / クラスラシル / 結晶構造 / 炭素循環 |
Research Abstract |
本研究課題では、天然ガス分子を含む特殊なシリカ鉱物(クラスラシル)について、その結晶化学的な性質と、地球科学的な視点での形成環境、天然ガス分子の起源について明らかにすることを目的とする。 2年目となる平成25年度は、前年度に長野県から発見された、世界で二例目となる千葉石について、重点的な調査を行った。原産地の千葉県では、付加体上部の砂泥互層を切る断層に沿って、千葉石を含む石英・方解石脈が見られたが、長野県での産状は全く異なっており、安山岩質火山岩の亀裂を充填する石英・方解石脈中に産出する。それらの亀裂は石英や結晶質方解石の他に、しばしば炭酸塩岩質の砂岩で充填されており、その中にはフランボイダルパイライトが多数確認された。フランボイダルパイライトは、還元的土壌(泥)中でバクテリアの作用が存在する時にのみ形成される、特徴的な組織である。そして、堆積起源の砕屑物を含むことと岩石の破砕状況から、この火山岩は未固結の海底堆積物に貫入したハイアロクラスタイトであることが判明した。千葉石の成分であるシリカと天然ガスは、どちらも堆積岩起源であり、火山岩は単なる熱源として作用している。 これらの調査結果は日本鉱物科学会の2013年年会にて発表した。また、クラスラシルに関するレビュー論文を執筆した。 千葉県から発見された、もう一種類のクラスラシル鉱物については、物理化学データの測定を終え、国際鉱物学連合の新鉱物命名分類委員会に、新鉱物としての申請書を提出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
千葉石、及びもう一種類のクラスラシル鉱物の結晶構造解析については、ほぼ計画通りに進んでいる。フィールド調査に関しては、新たな産地が発見でき、当初計画を大きく上回る成果を上げている。炭素同位体測定については、試料及び測定法の制約から、予備的なデータしか得られていないが、詳細な地質調査により、天然ガスの起源に関する追加的データが得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、長野県産千葉石について、詳細な結晶構造解析を行い、原産地試料との比較を行う。また、これまで行ってきた地質調査と結晶構造解析の結果を論文にまとめる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度に30万円の支出を見込んでいた、試料採取にかかる作業が予定予算を下回った一方で、次年度の国際学会参加費が当初見込みを上回ったため。 これまでの研究成果を国際鉱物学連合の会合(IMA2014)で発表する予定であり、その旅費に50万を要する。その他、国内の地質調査と学会参加の旅費に20万円、英文校閲費や消耗品費に30万円を見込んでいる。
|
Research Products
(19 results)