2014 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生態系・同位体分子種モデルを用いた海洋からのN2O排出を支配する要因の解明
Project/Area Number |
24740365
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉川 知里 独立行政法人海洋研究開発機構, 生物地球化学研究分野, 技術研究員 (40435839)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 同位体分子種 / 海洋生態系モデル / 一酸化二窒素 / 海洋窒素循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、海洋研究開発機構の海洋地球研究船「みらい」のMR14-04に参加し、西部北太平洋の亜熱帯と亜寒帯の2つの定点近辺(K2とS1)において、硝酸・クロロフィル同位体比測定用試水の採取を行った。これらの試料は現在分析中である。また、海洋調査船「かいよう」のKY14-09によるS1の硝酸同位体比測定用試水と学術研究船「白鳳丸」のKH14-02によるK2の硝酸同位体比測定用試水も取得し、これらの窒素同位体比を測定した。 また平成26年度は、前年度までに構築した海洋生態系・同位体分子種モデルを用いて、K2・S1におけるN2O生成・放出メカニズムを考察した。その結果、両サイトにおけるN2Oの年平均放出量は、K2が32.3mgN/m2/yr、S1が2.7mgN/m2/yr、と見積もられた。また各種感度実験の結果とN2Oの同位体分子種比の測定結果の比較から、K2では主に硝化によって、S1では硝化とともに硝化菌脱窒によってN2Oが生成されていることが示唆された。さらに各種感度実験の結果とN2Oの窒素同位体比の測定結果の比較から、両サイトにおいて、アンモニア酸化細菌とともにアンモニア酸化古細菌の寄与が約半分を占めることが示唆された。この結果は、前年度に行った古細菌阻害剤と15Nトレーサーを用いた培養実験によるN2O生成速度の見積もり結果と整合的であった。これらの結果を論文にまとめて、投稿した。
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