2012 Fiscal Year Research-status Report
高速偏光分光法を利用したECRプラズマ生成過程における非等方電子計測法の開発
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24740367
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
四竈 泰一 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80456152)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマ / トカマク / ECR / 電子速度分布関数 / 分光 / 偏光 / リチウム |
Research Abstract |
本研究の目的は,磁場閉じ込め型プラズマ核融合実験装置の電子サイクロトロン共鳴加熱 (ECRH) を利用したプラズマ生成過程における電子速度分布関数の非等方性を空間,時間分解して計測するための手法を開発することである.このために,プラズマ中に入射したシート状熱リチウム原子ビームから生じるリチウム原子2s-2p発光線(670.8 nm)の偏光を高速で分光測定し,偏光方向と偏光度から非等方電子成分の磁力線に対する運動方向及びエネルギーを推定する.2年の研究期間のうち,初年度は高速偏光分光計測システムの開発,次年度は小型ECRプラズマ実験装置を利用した実証実験を行う. トカマクや球状トカマク型装置におけるECRHによるプラズマ生成の典型的な時間スケールであるミリ秒からそれ以下の時間分解能で電子速度分布関数の非等方性を測定するために高速偏光分光計測システムの開発に取り組んだ.光弾性変調器,偏光分離素子,バンドル型光ファイバ,分光器を組み合わせた測定系と光電子増倍管アレイ,高速DAQを組み合わせた検出系をそれぞれ製作した.放電ランプを利用してシステムの性能評価を行った結果,ストークスパラメータI, Q, Uをミリ秒程度の時間分解能で測定可能なことが確認できた.以上により,当初の研究計画に沿った初年度の目的を達成した. さらに,開発した計測システムの一部を利用することで,窒素1価イオン発光スペクトルの偏光分離計測システムを構築し,カリフォルニア工科大学と共同で高密度プラズマジェット中の磁場ベクトルの空間分布測定を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画の初年度に予定していた高速偏光分光計測システムの開発および性能評価を実施し,予定通りの性能を持つシステムが得られた.副次的な成果として開発したシステムの一部を利用した高密度プラズマジェット中の磁場ベクトルの空間分布測定にも成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,小型プラズマ実験装置を用いてECRHプラズマを生成し,プラズマ中に入射したシート状熱リチウム原子ビームからの発光を観測する.ストークスパラメータを測定し非等方電子成分の運動方向及びエネルギーの空間・時間変化を求める.さらに,計測結果の妥当性を検証するために,方向性プローブを利用した測定との比較を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ECRHプラズマ実験に必要となるリチウム,ガス,真空部品,光学ステージ及び治具等の消耗品の購入を予定している.また,旅費として国内学会及び国際学会への参加経費を計上している.
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