2013 Fiscal Year Research-status Report
高エネルギー粒子の運動論効果による粒子加熱と帯状流乱流輸送特性の研究
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24740372
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 真 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (70575919)
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Keywords | 乱流構造形成 / 閉じ込め改善 / 乱流シミュレーション / 帯状流 / ストリーマ / フルート構造 / 乱流輸送 |
Research Abstract |
本研究では、高エネルギー粒子の運動論効果及び乱流輸送特性を理論的に明らかにすることを目指している。今年度は、乱流輸送とそれを規定する乱流構造形成の非線形素過程を明らかにすべく、円筒プラズマにおける3次元乱流シミュレーションを実施した。 上記シミュレーションにおいて抵抗性ドリフト波乱流の構造分岐を得ることに成功した。得られた乱流状態は、周方向平均流が支配的となる状態、フルート構造が支配的となる状態、ストリーマ状態の3状態である。粒子ソース強度をスキャンする事で、乱流構造の分岐に伴う閉じ込め性能の変化を得ることが出来た。ドリフト波が安定なほどソース強度が小さい場合は、衝突輸送できまる閉じ込めが実現し、ソース強度を大きくしていくと、閉じ込めの悪いストリーマ状態、フルート状態が支配的となる。さらにソース強度を大きくすると周方向平均流が卓越し、閉じ込め性能が改善することが明らかになった。密度勾配の振る舞いに着目すると、閉じ込めの悪い領域では、粒子ソース強度を大きくしても密度勾配が変化しない「勾配の硬直化現象」が観測された。この研究によって、円筒プラズマにおいても、衝突輸送、乱流輸送、改善閉じ込め輸送状態を統一的に研究可能であることが初めて示された。 乱流構造分岐点近傍における定常乱流状態に対して外部制御パラメタを変化させ、乱流構造の動的応答を得るシミュレーションを行った。ストリーマ、フルート構造の遷移点近傍においてイオン-中性粒子衝突周波数を変化させた。ストリーマは2つのドリフト波とその非線形結合によって駆動される媒介波の間の周波数および波数間の共鳴条件が満たされる事により形成される。共鳴条件の時間発展を調べる事でストリーマの崩壊過程を詳細に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、高エネルギー粒子の運動論的効果及び乱流輸送特性を明らかにすることを目指している。本年度までに、振動帯状流の非線形伝播特性を得ており、高エネルギー粒子に駆動される振動帯状流によるイオン加熱効果の伝播速度が明らかになっていた。本年度は、乱流の構造形成の素過程に焦点をあて理解を進展させることが出来た。帯状流を含む複数の乱流構造間の非線形競合過程と閉じ込め性能の関係を明らかにする成果を得ている。さらに乱流の動的応答へ研究を発展させ、乱流構造形成機構の理解を進めている。最終年度は高エネルギー粒子の効果を考慮した理論計算を実施する予定である。 以上を総合し、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き予定している高エネルギー粒子が駆動する振動帯状流理論の研究を進める。特に、高エネルギー粒子に駆動された振動帯状流の非線形飽和過程を明らかにする予定でいる。非線形飽和過程まで取り入れる事で、飽和振幅を評価する。振動帯状流が背景イオンへ与える加熱効果をより詳細に理解する事が可能となる。さらに、これまでに明らかになっている非線形伝播特性と合わせる事で、振動帯状流を介した高エネルギー粒子と背景イオンとの相互作用の理解を拡張していくことを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末間際に論文が受理され、論文投稿料が確定するのが年度をまたいでしまったため、投稿料支払いのために残しておいた金額の使用を見送った。 年度末間際に受理された論文の投稿料を支払う。
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Research Products
(11 results)