2013 Fiscal Year Annual Research Report
電解質・電極エピタキシャル薄膜を用いた電子・イオン伝導の律速因子の解明
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24750005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 明哉 東北大学, 環境科学研究科, 産官学連携研究員 (50568433)
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Keywords | 物理化学 / エピタキシャル薄膜 / 薄膜電池 / リチウムイオン二次電池 / イオン伝導 / 電気化学 / 固体イオニクス / リチウムイオン電池 |
Research Abstract |
本年度は、研究課題である電極・電解質エピタキシャル薄膜における電子・イオン伝導の律速因子の解明のため、エピタキシャル薄膜の作製条件の最適化とその薄膜を用いて、プローブ顕微鏡の一種である界面イオン伝導顕微鏡による電極・電解質イオン伝導経路の検討を中心として、研究を行った。具体的には、 (1)単結晶基板上にRFマグネトロンスパッタ法及び、パルスレーザー堆積法を用いて、成膜時の酸素雰囲気、加熱温度、Li量を精緻に制御した薄膜を作製し、その結晶構造(方位)・粒界を制御したエピタキシャル薄膜を作製した。 (2)電極・電解質界面におけるリチウムイオン電流応答を直接可視化及び、局所電気化学評価可能な界面イオン伝導顕微鏡を用いて、エピタキシャル電極・電解質界面における結晶方位・粒界の電流応答の不均一性を電気化学的に評価した。 薄膜作製技術に関しては、パルスレーザー堆積法と比較し、安価・簡易に試料作製可能なRFマグネトロンスパッタ法を用いて、高品質なエピタキシャル薄膜の作製に成功した。これらの薄膜を用いて、律速因子の解明に取り組んだ。電子伝導に関しては前回の報告で界面抵抗がバルク内と比べ極めて高いことを報告したが、イオン伝導に関しては、界面イオン伝導顕微鏡を用いた。本顕微鏡は、超微小電池構造セルをプローブ・電極間(電極・電解質界面)で形成し、このセルを介して局所的にイオン電流応答を測定するプローブ顕微鏡技術である。測定の結果、結晶方位によりイオン電流応答に差異が見受けられた。また、特定の粒界においては、電流応答が極めて高いことが分かった。前回の結果と比較し、粒界においては電子伝導が阻害されるが、一方でイオン伝導応答が高いことが分かり、この知見は、今後のリチウムイオン2次電池の材料設計時の指針となり得る。
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