2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子の運動性を利用した2次元核磁気共鳴法の開発と実材料への応用
Project/Area Number |
24750008
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大窪 貴洋 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50534541)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核磁気共鳴 / 2次元ラプラス逆変換 / 緩和時間 / 自己拡散係数 / 非破壊検査 / 空隙構造 / 水和反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元ラプラス逆変換を利用して緩和時間(T1とT2)と自己拡散係数(D)を軸とした2次元核磁気共鳴法を開発し、材料中での物質輸送や水和反応プロセスの現象解明に応用した。測定のためのパルスシーケンスは国内のNMRメーカーの装置で実行できるよう作成し、測定した生データからラプラス逆変換による2次元スペクトルの取得までの一連の解析を行うプログラムパッケージを開発した。2次元ラプラス逆変換は、特異値分解を利用したデータ圧縮を行い、スムージングパラメータを最適化することで誤差を含む実験データでも安定した解が得られるプログラムを開発した。開発したプログラムは、BLASライブラリを用いて行列計算を行い複数コアを用いた並列計算を行うことで、デスクトップコンピュータで十分実用に耐えうる速度で解析を行うことが可能となった。また開発したプログラムは、国内外の大学や研究機関に無料で配布し、高分子材料や生体材料中の水の状態解析に応用されつつある。申請者が行った開発手法の材料への応用は、(1)セメント材料の水和反応と(2)圧密粘土材料中の空隙構造の解析を重点的に行った。(1)の成果は、セメントペーストから固化までを非破壊でモデリングし、二次元T1-T2スペクトルから異なる空隙に存在する水を定量することができた。(2)の成果は、廃棄物の地中処分で用いられる圧密粘土を対象に、有害物質のパスとなる空隙構造の情報を得ることができた。
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