2012 Fiscal Year Research-status Report
固体NMRによる結晶化が困難なタンパク質のための構造解析法の開発
Project/Area Number |
24750014
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大橋 竜太郎 金沢大学, 物質化学系, 助教 (50533577)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 固体NMR / タンパク質 / 立体構造解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、固体NMRによる結晶化が困難なタンパク質のための構造解析法の開発を行い、開発された解析法が有用であることを示すこと、である。平成24年度は、試料の作成条件の検討と、DARR法による距離決定のための解析方法の検討を行った。 試料作製の条件:本研究では、試料として、電子伝達体としての機能を持つ鉄ー硫黄タンパク質である、フェレドキシンを用いる。今回の固体NMRでの測定は粉末試料によって行うため、まずフェレドキシンの粉末化条件の検討を行った。研究協力者の瀬尾により、天然存在比のフェレドキシン試料が作成され、飽和硫酸アンモニウム溶液による沈殿を凍結乾燥した試料の固体NMRの信号がもっとも先鋭化することが分かった。また、20% [13C, 15N]-フェレドキシン試料が作成され、同じ方法で沈殿、凍結乾燥を行った。 DARR法による解析方法の検討:本研究の核となるDARR法による距離決定に関して、1,2-13C-Leuを用いた測定により、DARR法のラジオ波照射条件を変化させると、炭素間の磁化移動速度が大きく変化することが分かった。この2つの条件の違いを利用すると、緩和による磁化移動速度と、双極子相互作用による磁化移動速度が分離可能となり、双極子相互作用による磁化移動速度から、2つの炭素原子間の距離を精度よく求められること、及び、精度の良い距離情報から、微結晶化が困難な試料の解析が行えるようになることが期待される。平成25年度は、この解析方法を、上記の方法で粉末化したフェレドキシン試料に適用する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、試料の作成条件と距離情報の解析方法の検討に終始したため、 実際の解析は平成25年度に行うこととなった。このため、進捗状況としては、やや遅れている、と判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、硫酸アンモニウム沈殿によって粉末化したフェレドキシン試料を用いて、以下のように研究を進める。 5月~ 8月:フェレドキシン試料の固体NMR測定、9月~10月:フェレドキシン試料の固体 13C, 15N NMR 信号の帰属決定※、11月~12月:平成24年度に検討した解析方法による13C-13C間距離の計算、1月~ 2月:得られた構造情報を用いた微結晶化されたferredoxin の立体構造計算、3月:X線による結晶構造との比較と考察 ※:13C、15N NMR の同種核間、及び異種核相関実験により、NMR信号の帰属決定を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
固体NMR試料管、3本:\510,000, LCRメーター、1ケ: \160,000, 論文校閲費: \100,000, 液体窒素(冷却測定用)175L, 6本: \90,000学会等出張費: \40,000 計:\900,000
|