2013 Fiscal Year Annual Research Report
固体NMRによる結晶化が困難なタンパク質のための構造解析法の開発
Project/Area Number |
24750014
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大橋 竜太郎 金沢大学, 物質化学系, 助教 (50533577)
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Keywords | 固体NMR / タンパク質 / 原子核間距離 / 立体構造解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、固体NMRによる結晶化が困難なタンパク質のための構造解析法の開発を行い、開発された解析法が有用であること を示すことである。平成25年度は、2スピンのみを炭素13核で標識した2つのアミノ酸試料(アラニンとロイシン)のDARR法による2次元交換NMRスペクトルの測定と解析、及び研究協力者の瀬尾によるタンパク質試料(フェレドキシン)の作成と、その固体NMR測定を行った。 アラニンの解析:メチン基とメチル基を炭素13核で標識したアラニンを用いてDARR法による2次元交換NMR測定を行い、NMRスペクトルの解析方法の開発を行った。その結果、異なる実験条件によるスペクトルを比較することで、標識した2つの炭素核の距離が、0.9 ~ 1.6 Åと見積もることができた。X線結晶構造解析による文献値は 1.53 Å であり、本研究で求めた範囲と一致する。ただし、誤差が非常に大きいため、より精度を上げる解析法の開発が望まれる。 ロイシンの解析:メチン基とカルボキシ基を炭素13核で標識したロイシンを用いてDARR法による2次元交換NMR測定を行い、NMRスペクトルの解析方法の開発を行った。その結果、標識した2つの炭素核の距離が、1.6 Å以下と見積もられたが、距離の範囲の下限を見積もることはできなかった。 アラニン、ロイシンの結果から、本研究で用いた解析方法は、水素核が直接結合した炭素核に対して有効であることが分かった。 フェレドキシンの測定:タンパク質試料であるフェレドキシンを用いてDARR法による2次元交換NMRスペクトルの測定を行ったが、解析に十分な分解能が得られず、NMR信号の帰属を行えなかった。膜タンパク質、繊維状タンパク質の解析のためには、こうした分解能の低い試料に対しても帰属を行うための手法開発も必要であると考えられる。
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