2012 Fiscal Year Research-status Report
半導体ナノ素子における多励起子生成・消滅ダイナミクスの数値実験的研究
Project/Area Number |
24750016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金 賢得 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30378533)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換、アメリカ / 国際情報交換、カナダ |
Research Abstract |
応募者はいくつかの代表的なQDにおいてMEG/MERを計算し、MERは多励起子の低エネルギー状態がゲートウェイとなって発生し、高エネルギー多励起子は再結合しにくいという新たな非平衡ダイナミクス経路を見出した。更に、バンドギャップの2倍に満たないエネルギー励起でも、フォノン振動エネルギーにアシストされてMEGが起こりえる事を発見した。その後、本手法の汎用性を示し、MEG/MERの更なる非平衡物性を追究するため、異なる条件・タイプのナノ素子に本アプローチを適用した。その結果、MERは単一の多励起子からでなくMEGにより発生した多数の多励起子による複数経路によって初めてピコ秒オーダーの実験時定数を実現するようになる事、MEGとMERを誘起する特徴的なフォノンダナミクスが存在する事、フェルミの黄金則では記述できないガウス関数的ダイナミクス領域が存在する事を見出した。 最近では、低温における急激なフォノンモード凍結のためMEG温度依存性がバルク半導体と異なりlog Tになる事を数値実験的に示し、「QDにおけるMEG/MERは温度に依存しない」という従来の予想を覆し、QD内のMEG/MERがnon-thresholdであることを確認した。さらに、この非自明な温度依存性の物理的要因をフォノンダイナミクスの温度依存性として説明できたことで、QD内のMEG/MERを引き起こす物理的メカニズムが電子-フォノンカップリングであると実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算システムは正常に作動し、実験家とのコラボレーションも開始できた。そこでの結果も実験結果に見合うものであり、その有効性が証明されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
実験家との共同研究をさらに推進し、様々なナノ素材においてMEG/MERの有効性を実証して、有益なナノデザインの提案まで行き着きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ハイパフォーマンスコンピュータを購入し計算環境をさらに充実させ、国際学会において発表を行い、研究成果を広める予定である。
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Research Products
(12 results)