2013 Fiscal Year Research-status Report
半導体ナノ素子における多励起子生成・消滅ダイナミクスの数値実験的研究
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24750016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金 賢得 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30378533)
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Keywords | ナノサイエンス / 光電変換 / 光励起ダイナミクス |
Research Abstract |
MEGの温度依存性を詳細に調べることで、低温における急激なフォノンモード凍結のためMEG温度依存性がバルク半導体と異なりlog Tという特異な温度依存性を持つ事を示した。すなわち「量子ドットにおけるMEG・MERは温度依存しない」という従来の常識を覆し、かつ量子ドット内のMEG・MERがnon-thresholdであることを計算科学的に実証した。さらに、この非自明な温度依存性の物理的要因を「フォノンダイナミクスが同様の温度依存性持つため」と示すことで、量子ドット内のMEG・MERがクーロン相互作用ではなく、電子-フォノン相互作用によって発生していると結論づけた。これは、MEG・MERの物理的メカニズムの解明に大きく近づく示唆である。 量子ドット単体だけでなく、量子ドットに蛍光色素分子が付着した複合ナノ構造体において光励起後の量子ドットから蛍光分子への電子移動を追究した。具体的には、CdSe 量子ドットにメチレンブルーを付加した複合ナノ構造体において、光励起後の量子ドットからメチレンブルーへの電子移動ダイナミクスを実時間で第一原理的に数値実験できるプログラムをsingle particle描像ではなく、holeとのエネルギー授受まで考慮したExciton描像に基づいて開発した。その結果、マーカス理論における電子移動速度の反転(減少)領域が存在しない新しいタイプの電子移動ダイナミクスが発生することを実証した。さらにこの新しい電子移動過程を、量子ドット内の強いAuger効果によって、電子移動時に正孔が合わせて励起する(Auger-Assisted Hole Excitation)ためと結論付け、電子-フォノン相互作用によってAuger-Assisted Hole Excitationが一部阻害され電子移動が鈍くなることも併せて示した。この電子移動速度に反転領域のない超効率的電子移動は、量子ドットからの効率的な電荷取り出しを目指す上でも画期的な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発した手法を用いて、興味深く革新的な光励起ダイナミクスを発現するナノマテリアルにトライできている。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した手法を用いて、さらにさまざまなナノマテリアルに挑戦し、革新的な光励起ダイナミクスを見出していく。
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Research Products
(8 results)