2013 Fiscal Year Research-status Report
電場下におけるイオン液体中の金属イオン溶媒和構造の解明
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24750019
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
梅木 辰也 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00384735)
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Keywords | イオン液体 / NMR / 溶媒和構造 / ダイナミクス / リチウム電解液 |
Research Abstract |
電場下における溶液構造を分子レベルで明らかにすることはリチウムイオン二次電池など蓄電池用電解質溶液の開発において極めて重要である。しかし、これまでに電場下の溶液構造を調べた研究報告例はほとんどない。本研究では、電場下や非電場下におけるイオン液体中の金属イオン溶媒和構造やダイナミクスを明らかにすることを目的としている。 本年度は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムをカチオンとするイオン液体([C2mim][TFSA])を溶媒とするLiTFSA溶液のLi+溶媒和構造やダイナミクスに対する水の溶解効果について検討した。水は低い電位で電気分解を起こすため、非水系電池用電解液にとって重要な不純物の一つである。各核種のNMR化学シフト、7Li核の縦緩和時間、各イオン種の自己拡散係数の結果から、イオン液体中では水はドメイン構造を形成することがわかった。また、水が溶解したイオン液体中のLi+はLi+-水分子間相互作用により水のドメイン領域にあり、水溶液に類似したダイナミクス機構を示すことが明らかとなった。この結果は、非水系電解液用溶媒の設計において重要な知見である。この研究結果については、論文投稿し、既に掲載された。 四電極を組み込んだセルを試作し、NMR測定を行った。しかし、四電極を組み込んだことによる試料体積の減少や磁場の不均一性により、議論に十分な一次元スペクトルを得ることができなかった。現在、二電極を組み込んだセルの作製に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
四電極を組み込んだセルを試作し、NMR測定を行ったが、議論に十分な一次元スペクトルを得ることができなかった。一方、非電場下におけるイオン液体中のLi+溶媒和構造やダイナミクスの研究について進めることができ、それら成果の一部は論文として発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
電場下の研究については、二電極を組み込んだセルを使って、NMR測定を行う。 非電場下の研究については、1-オクチル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンをカチオンとしたルイス塩基性イオン液体([C8dabco][TFSA])を溶媒とするLiTFSA溶液の二次元NMRスペクトルによるリチウムイオン-カチオン間相互作用の検証を行う。また、そのLiTFSA溶液の縦緩和時間と自己拡散係数を測定し、Li+溶媒和構造とダイナミクスとの相関について検討する。
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Research Products
(3 results)