2013 Fiscal Year Annual Research Report
炭素クラスター・ポリイン負イオンの冷却過程と異性体形成過程の追跡
Project/Area Number |
24750021
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松本 淳 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (10443029)
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Keywords | 炭素クラスター / 励起分子素過程 / イオン蓄積リング |
Research Abstract |
クラスターは多くの場合高温状態で生成し,その冷却過程がフラーレン類を含めたクラスターの幾何構造を決定すると考えられている。しかし,これまでに温度と構造の相関を詳細に検討した研究はほとんどなされていない。周長約0.8 mの超小型イオン蓄積リング(μE-ring)と周長約7.7mのイオン蓄積リング(TMU E-ring)を用いて,炭素クラスター負イオン(Cn-)とポリイン負イオン(CnH-)の冷却過程を数マイクロ秒から数百ミリ秒にわたって追跡する。これら負イオン種の自動電子脱離寿命と冷却に伴う励起スペクトルの変化を追跡することで,Cn-・CnH-の構造形成機構に関する知見を得ることを目的とする。 μE-ringでは,リング本体-イオン源間の接続部の設計製作を行った。またリング内をイオンが長時間周回(蓄積)できるよう最適化を行っている。現在,リング本体の小型化に起因した電極間の放電対策を行うとともに,長時間の安定蓄積を可能とするために電極組み付け精度を高める手法を検討した。 またTMU E-ringを用いた実験では,イオン源で生成された直後の高温のC4-,C6-,C6H-及びC7-を蓄積し,1光子吸収によって誘起された遅延電子脱離過程を観測した。特にC6-,C6H-では,昨年度観測された0.1ms程度の遅延電子脱離過程をシミュレーションなどを用いて考察した。その結果,双極子遷移可能な電子励起状態から基底状態への遷移のため時定数が小さいことが明らかになった。現在,製作中のμE-ringを用いてより速い時定数を持つ過程を追跡するために,これらの結果と合わせて考察を進めていきたい。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Radiative cooling of C7-2014
Author(s)
K. Najafian, M. S. Pettersson, B. Dynefors, H. Shiromaru, J. Matsumoto, H. Tanuma, T. Furukawa, T. Azuma and K. Hansen
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Journal Title
The Journal of Chemical Physics
Volume: 140
Pages: 104311-1-6
DOI
Peer Reviewed
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