2012 Fiscal Year Research-status Report
極度に伸長したC―C単結合を有する化学種の創成と結合のジラジカル性の追求
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24750032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武田 貴志 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80625038)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 長い結合 / ヘキサフェニルエタン / サーモクロミズム |
Research Abstract |
本研究は長いC-C単結合を有する化合物の創製とその物性調査を目的としている。本年度はDFT計算を用いた長いC-C単結合を有する候補化合物の探索と長いC-C単結合を有する化合物が示すサーモクロミズムについて調査を行った。 長いC-C単結合を有する化合物の探索においては、これまでに長いC-C単結合を有していることが確かめられているテトラフェニルピラセンを基軸としてDFT計算による比較・検討を行った。立体反発の増加による結合の伸長を検討する目的でアリール基をフェニル基からナフチル基に置換した化合物を検討したが、結合の更なる伸長が認められなかった。一方で、アンスリル基に変更すると長い結合が開裂したとみなせるジラジカル構造が見積もられた。ファンデアワールス相互作用が長い結合の安定化に寄与していると報告がされていることを考慮し、アダマンチル基を組み込んだ化合物を構造最適化したところ、結合が開裂しているとみなせる長いC…C原子間距離を有すると見積もられた。 これまでにテトラアリールピラセンの単結晶中でのサーモクロミズムを明らかにしている。今年度は結晶状態だけではなく、粉末状態においてもサーモクロミズムを示すことを確かめた。粉末のUV-Visスペクトルにおいて加熱と冷却に対応して長波長部位の可逆な色調の変化が起きることを確かめた。現在、物性の詳細を明らかにする目的で該当化合物の合成条件の最適化を進めており、前駆体をグラムスケールで合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載の通り検討を進めており、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
サーモクロミズムを示す化合物の大量合成法を速やかに確立する。 合成した試料を用いて物性測定を行うことでサーモクロミズムの由来を明らかにすることを目指す。また、これまでに検討した、長い結合を有する候補化合物の合成に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)