2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24750036
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
山口 深雪 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (70548932)
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Keywords | 有機合成 / 質量分析 / 触媒 / 反応機構 |
Research Abstract |
当研究室で開発した金属触媒反応について、触媒種および反応中間体の検出およびそれらの存在量の経時変化の観測を質量分析法により行った。イオン化法としては、主にエレクトロスプレーイオン化(ESI)法を用いた。 まず、ヒドロキシ基含有ターフェニルホスフィン配位子(DHTP)およびパラジウムから成る触媒を用いるジクロロフェノールと末端アルキンからの多置換ベンゾフラン合成について反応機構解明の検討を行った。本合成の第一段階である薗頭クロスカップリング反応におけるオルト位選択性発現の機構を明らかとするため、中間体や触媒活性種の検出をESI法により試みたところ、塩基存在下、DHTPと基質であるクロロフェノールを混合すると、リチウムフェノキシドを介したDHTPとクロロフェノールの複合体形成を観測した。これにより、実際の反応系中においても同様に複合体形成が起きているものと推察された。これはパラジウム―DHTP触媒が基質であるジクロロフェノールを捕捉することで高いオルト位選択性が発現することを強く示唆するものである。続いて、パラジウム存在下で中間体の検出を試みたが、種々検討したものの、予想される中間体を検出することはできなかった。今後さらなる検討が必要と考えている。 さらに、同触媒を用いるクロロアニリン誘導体と末端アルキンを用いるインドール合成についても反応中間体の検出を検討した。その結果ベンゾフラン合成の場合と同様に、クロロアニリン誘導体とDHTPが塩基存在下で複合体を形成することを確認した。 また、ルテニウムおよびイミダゾールから成る触媒を用いるヒドロエステル化反応における反応機構を明らかとするため、ESI法により反応系中に存在する触媒種の検出を試みた。その結果、ルテニウム―イミダゾール錯体を検出することに成功し、本反応の機構解明につながった。 これらの成果については国内学会において発表を行い、さらに論文として発表した。
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