2013 Fiscal Year Annual Research Report
革新的なイソシアニドの付加ー捕捉手法を基盤とする合成反応の新展開
Project/Area Number |
24750037
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
添田 貴宏 金沢大学, 物質化学系, 助教 (10506819)
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Keywords | イソシアニド / 含窒素複素環 / 多成分反応 |
Research Abstract |
イソシアニドはその炭素原子上に求核性と求電子性を併せ持つ「カルベン」として機能し,有機合成化学において重要な合成素子の1つである。重要な問題点の1つとして,反応中間体であるニトリリウムイオンを安定化させるためにカルボン酸を必要とする点が,反応系の多様性を制限していることが挙げられる。この問題点の解決法の一つとして,カルボン酸と同様に機能する物質,すなわち,同一分子内に求電子部位と求核部位を有する化合物 (Z-Nu)を用いれば,カルボン酸等価体として機能し,新規反応の開拓が可能であるというコンセプトを打ち立て,以下のような成果を上げることが出来た。 1)イミン等価体であるニトロンはその酸素原子がLewis酸へと容易に配位し,イミン部位を活性化することが可能である。そこで環状ニトロンへのイソシアニドの付加反応に着目してMe3SiClを用い,イソシアニドの付加反応を行ったところ,反応は速やかに進行し,対応するアミド誘導体を得ることに成功した。 2)C,N-環状 N’-アシルアゾメチンイミンはその共役構造から1,5-双極子として機能し,イソシアニドと[5+1]付加環化反応が進行すると期待した。そこでイソシアニドとの反応を行ったところ,わずか10分で完結し,対応するオキサジアジノン誘導体を高収率で得ることができた。 3)さらに、C,N-環状 N’-アシルアゾメチンイミンとイソシアニドとの新規多成分反応を行った。反応を精査した結果、安価なTMSClとアジ化ナトリウムを利用することで対応する1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン骨格を有するテトラゾールを高効率的に得ることに成功した。
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