2012 Fiscal Year Research-status Report
共役拡張ポルフィリンの効率合成,π共役系を活用した新機能探索
Project/Area Number |
24750042
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森 重樹 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 助教 (30572028)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | π共役 / ポルフィリン |
Research Abstract |
π共役化合物に二環性骨格を組み込み、連結されたπ共役系が創るナノ空間によるπ曲面化合物の識別を目指し、架橋型ポルフィリン二量体の合成を検討した。申請者の所属する研究グループの先行研究によって、ピロール3つからなるトリピランと、二環性骨格を連結させたピロール部位との[3+1]ポルフィリン合成法はすでに確立しているため、二環性部位を組み込んだ種々の連結ジピロールの合成を検討した。また、二環性骨格を連結部位としたより大きなポルフィリンオリゴマーも目的化合物であり、その構成単位となるべく前駆体の合成も検討した。以下に今年度の成果を挙げる。 (1) これまでに合成していた、二環性部位を2つ導入したジピロールは直線型のみであったが、キラルなナノ空間の創成を念頭に置いたキラルなジピロールの合成手法を確立した。合成したジピロールの構造はX線結晶構造解析によって確認した。 (2) 連結部位に組み込んでいた二環性部位はこれまでビシクロ[2.2.2]オクタジエン(BCOD)骨格のみであったが、[2.2.1]型、ノルボルナジエンとBCODを1つずつ組み込んだ連結部位の構築に成功し、その構造をX線構造解析によって明らかとした。 (3) ポルフィリンの対角に位置するβ位にBCOD骨格を組み込んだポルフィリンオリゴマーの前駆体の合成に成功した。置換基の組み合わせとしてanti型、syn型それぞれ2つずつ存在することになるが、それについて1H NMR測定から確認した。またそれぞれの異性体1つずつをX線構造解析によって構造を明らかとした。 これらの成果を基に新規ポルフィリン二量体の合成法を確立し、ナノ空間の活用、特に目的に挙げているπ曲面化合物の識別を目指していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連結部位の分子設計は当初の計画として複数あるが、そのうち3つは合成ルートが確立できた。ピロール部位とトリピランとのポルフィリン合成はすでに確立しているため、二環性部位を組み込んだ連結部位の合成手法確立が初年度の目的であり、おおよそ達成出来たと考えられる。 またβ位の1箇所または2箇所、共役拡張したメゾアリール置換型ポルフィリンの合成・構造決定にも成功している。 それらの合成によって学会等に参加し、意見交換などを行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、ポルフィリン二量体ならびにポルフィリンオリゴマーの構築に注力する。合成できた化合物は順次元素分析、各種スペクトル、X線構造解析、TG測定、電気化学測定などを行ってキャラクタライズしていく。得られたポルフィリン二量体を用いて、まずは曲面化合物としてフラーレン類との包摂挙動を検討していく予定である。また研究協力者を通じ分光学性質を明らかにする予定である。 またβ位の1箇所または2箇所、共役拡張したポルフィリンを基盤とし種々の金属塩と作用させ、特徴ある結合様式を持つ金属錯体の構築を目指していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主たる研究費の使用目的は、試薬・汎用ガラス器具の購入、及び成果発表である。 次年度は申請者に加え、修士課程の学生4名とそれを補助する形で学部4回生が1名の態勢で本研究課題に取り組む。試薬・汎用ガラス器具については研究期間すべてを通じて不可欠なものである。試薬の中には不安定なものや時間とともに分解していくものも存在するので、必要な段階で必要量を購入していく。また不活性雰囲気下で化合物を扱う必要があるため、窒素ガス、アルゴンガス購入にも充てる予定である。
|
-
-
-
[Journal Article] Synthesis, structure and properties of ethyl naphth[2,3-f]isoindole-1-carboxylate2013
Author(s)
A. Seike, K. Yamagami, Y. Kakitani, M. Kuwajima, H. Uoyama, S. Nagaoka, T. Nakae, S. Mori, T. Okujima, H. Uno
-
Journal Title
RSC Adv.
Volume: 3
Pages: 3006-3016
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-