2013 Fiscal Year Annual Research Report
共役拡張ポルフィリンの効率合成,π共役系を活用した新機能探索
Project/Area Number |
24750042
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森 重樹 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 助教 (30572028)
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Keywords | π-共役化合物 / ポルフィリン / 二環性骨格 / Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
π-共役化合物に二環性の[2.2.2]ビシクロオクタジエン(BCOD)骨格を導入、その構造的剛直性を着目し、連結したπ-共役系が創り出すナノ空間の活用、BCOD部位の熱変換を鍵反応とした高度に共役が拡がった化合物の構築を目的とし、ポルフィリン分子を基盤としたビシクロ化合物の合成を行った。具体的には、1)キラルで2つのBCOD骨格を組み込んだ架橋部位を持つポルフィリン二量体の合成と物性解明、2)BCOD部位に、さらなる拡張可能なジエン部位を構築したポルフィリン分子の開発、を検討した。 1)においてはキラル骨格を分子内に持たせるため、当グループで既に開発していたアキラル骨格(直線型)の手法とは異なる新たな合成ルートを確立した。合成したポルフィリン二量体は、NMR、UV、FL、MSにて生成を確認し最終的にX線構造解析にて結晶構造を明らかとした。さらに熱変換により更なる共役融合体の生成も確認した。ナノ空間の評価のためにフラーレン類(C60, C70)との錯形成挙動を検討した。C60, C70との包摂錯体の構造をX線構造解析にて明らかにした。また質量分析にて溶液中でも包摂錯体が存在していることを確認した。今後は分光学測定にて錯形成常数を決定する予定である。 2)において二環性部位にs-cis配座のジエンを構築する方法は既に知られており、この方法をポルフィリンへと適用した。ポルフィリンのピロールベータ部位1箇所、並びに2箇所ビシクロ骨格を介してジエン構造前駆体であるエステル体の合成方法を確立させた。ジエンとしての性質を評価するために種々のジエノフィルとDiels-Alder反応を行ったところ、想定通り連結体の生成を確認することが出来た。今後はポルフィリンオリゴマーを構築すべく適切なジエノフィルと反応検討を行う予定である。
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