2012 Fiscal Year Research-status Report
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24750045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 隆章 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (70509926)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アミド / 求核付加反応 / ジルコニウム / 官能基選択性 / 天然物化学 / 全合成 / ステモナアルカロイド / ステモアミド |
Research Abstract |
アミド基は、我々の日常生活に不可欠である医薬品・化学繊維など様々な分野において、重要な役割を果たす官能基の1つである。このため、効率的なアミド化反応の開発は重要な課題であり、精力的な研究の結果、アミド化反応は現在最も信頼できる反応の1つとして確立されている。一方、生成したアミド基は、ケトンやエステルなどの官能基に比べ、非常に高い安定性を有するため、他の官能基への変換が困難である。変換反応の種類は限られ、その反応条件も過激である。容易に合成できるアミド基を、自由自在に望みの官能基へと変換できるようになれば、重要な生物活性を有するアルカロイドの合成において、これまでにない実用的な新規合成法となりえる。このような背景のもと、ジルコニウム試薬の特徴を利用したアミド基への直接的な求核付加反応の開発と、これを利用したステモナアルカロイド類の全合成を目的とした。 本年度は、アミド基への直接的な求核付加反応の最適化条件の確立に取り組んだ。その結果、アミド基をSchwartz試薬で処理した後、ワンポットでトリフルオロ酢酸と様々な求核剤(アリルスズ、シリルエノールエーテルなど)を加えると望みの求核付加反応が進行する事がわかった。本反応は、反応不活性なアミドのカルボニル基に対し、高い官能基選択性を有しながら、わずか1工程で2つの異なる求核剤が付加できた。また、ステモナアルカロイドの全合成に取り組み、ステモアミドの全合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に示した官能基選択的な求核付加反応の開発に成功した。また、天然物全合成への応用として、平成25年度に計画していたステモナアルカロイドの1つであるステモアミドの全合成をすでに達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
求核付加反応の基質一般性の向上に取り組み、より多様な含窒素化合物の合成法を開発する。ステモナアルカロイドの全合成への展開では、より複雑な天然物を合成し、本反応の有用性を社会に示す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に計上した消耗品のうち、試薬の購入が予想より少なくて済んだため5,357円が残った。平成25年度では、天然物全合成の研究が本格的に開始し、より大きく高額なガラス器具が必要となる。このため、もともとの購入計画に加え、5357円はガラス器具の購入にまわす予定である。
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