2013 Fiscal Year Research-status Report
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24750045
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 隆章 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (70509926)
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Keywords | アミド / 求核付加反応 / ジルコニウム / 官能基選択性 / 天然物化学 / 全合成 / ステモナアルカロイド / ステモアミド |
Research Abstract |
アミド基は、我々の日常生活に不可欠である医薬品・化学繊維など様々な分野において、重要な役割を果たす官能基の1つである。このため、効率的なアミド化反応の開発は重要な課題であり、精力的な研究の結果、アミド化反応は現在最も信頼できる反応の1つとして確立されている。一方、生成したアミド基は、ケトンやエステルなどの官能基に比べ、非常に高い安定性を有するため、他の官能基への変換が困難である。変換反応の種類は限られ、その反応条件も過激である。容易に合成できるアミド基を、自由自在に望みの官能基へと変換できるようになれば、重要な生物活性を有するアルカロイドの合成において、これまでにない実用的な新規合成法となりえる。このような背景のもと、ジルコニウム試薬の特徴を利用したアミド基への直接的な求核付加反応の開発と、これを利用したアルカロイド類の全合成を目的とした。 本年度は、昨年度確立したアミド基への直接的な求核付加反応の適用範囲を詳細に検討した。反応不活性なアミドのカルボニル基に対し、高い官能基選択性を有しながら求核付加が進行した。本反応条件下、アミド基よりも反応性の高いエステルやニトロ基が共存できた。アミド基との構造類似性の高いカルバメートと完全に区別化できた。また、ムスカリン拮抗作用を示す矢毒ガエル由来のアルカロイド“ゲフィロトキシン”の全合成を、世界で最も短工程かつ高収率で達成し、開発した反応の実用性を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年・25年度の2年間を通して、当初の計画に示した官能基選択的な求核付加反応の確立と、適用範囲の解明に成功した。また、天然物全合成への応用として、ステモアミドとゲフィロトキシンの全合成を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した反応を駆使し、抗咳効果・抗寄生虫活性・抗結核菌活性など多様な生物活性を示すステモナアルカロイドの効率的な全合成に取り組む。より複雑な天然物を効率的に全合成し、本反応の有用性を示しつつ、有用な化合物を社会に供給する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に計上した消耗品のうち、試薬の購入が予想より少なくて済んだため17,871円が残った。 平成26年度に計画予定の天然物全合成では、より多くの溶媒・試薬が必要となる。このため、もともとの購入計画に加え、17,871円は溶媒・試薬の購入にまわす予定である。
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