2013 Fiscal Year Annual Research Report
希土類触媒を用いた炭素-水素結合の位置選択的官能基化反応の開発
Project/Area Number |
24750046
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小山田 重蔵 独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (60525393)
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Keywords | 希土類錯体 / C-H結合活性化 / アルキル化 / アニソール / N,N-ジアルキルアニリン / オレフィン |
Research Abstract |
配向基を利用した有機化合物の位置選択的な炭素―水素結合の官能基化は、直接的かつ高選択的であるため有機合成上、重要な反応である。このような反応の触媒には従来、Pd、Ru、Rhなどの後周期遷移金属が主に利用されているが、前周期遷移金属を触媒とした反応は限られている。そこで、3族の希土類錯体を触媒に用いることにより従来の後周期遷移金属触媒では達成できない、希土類金属の特徴を活かした反応の開発を行った。 前年度は、ペンタメチルシクロペンタジエニル配位子をもつ希土類ジアルキル錯体とボレートからなる触媒系を用いると、オレフィンによるアニソール類のオルト選択的なアルキル化が起こり、オルト―アルキルアニソールが得られることを明らかにした。本年度はアニソール類と同様に後周期遷移金属触媒では適用例がないN,N-ジアルキルアニリン類のアルキル化反応を検討した。その結果、立体障害の大きなN,N‐ジエチルアニリンは反応しなかったものの、N,N‐ジメチルアニリンやメチルエチルアニリンのオルト選択的なアルキル化反応が進行することを見いだした。オレフィンの一般性はアニソールの場合に比べ低かったが、1-ヘキセンなどのα‐オレフィンやノルボルネンに適用できた。また、窒素上に芳香環を持たないジアルキルメチルアミンやアルキルジメチルアミンなどのメチルアミン類の場合には、反応性の高いノルボルネンにしか適用できないものの本触媒系を用いると窒素上のメチル基のアルキル化反応が位置選択的に進行することが明らかになった。 本触媒系では溶媒として用いたトルエンのベンジル位のアルキル化が起こることもわかった。この場合、スカンジウム錯体は活性を示さず、比較的イオン半径の大きなガドリニウム錯体が高い活性を示した。この反応はエチルベンゼンでは進行せず、キシレンやメシチレンなどメチル基をもつものに適用できた。
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