2012 Fiscal Year Research-status Report
銅触媒による二酸化炭素を用いるアルケン及びアルキンのボリル化/カルボキシル化
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24750047
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
張 亮 独立行政法人理化学研究所, 侯有機金属化学研究室, 国際特別研究員 (20610992)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | カルベン配位子 / 二酸化炭素 / 銅触媒 / カルボキシル化反応 |
Research Abstract |
本研究はアルキンやアルケン類に二酸化炭素およびホウ素化合物を結合させ、カルボン酸を含む有機ボロン化合物を触媒的に合成することを目的とする。 昨年度は、銅触媒を用いてピナコールボランB2(pin)2と二酸化炭素をアルキン類に触媒的に導入することに成功した。様々なタイプのN-ヘテロサイクリックカルベン銅触媒を合成し、これらの触媒活性、ならびに塩基、溶媒、温度、圧力等の反応に及ぼす影響を系統的に調査した。反応条件を最適化し、様々なアルキン類に対してこの反応を適用したところ、多くのアルキン類に対して位置・立体選択的にカルボン酸およびボラン類を導入でき、多くの新規不飽和ボララクトン誘導体の合成に成功した。さらに、これらの生成物は鈴木―宮浦カップリング反応に適用することが可能である。いくつかの反応中間体の単離、構造解析を行うことで反応メカニズムを明らかにした。これらの成果は国際的な一流誌であるJACS誌に掲載され、SYNFACTS誌にハイライトとして紹介された。 さらに、アルキンのみならず、上記銅触媒を用いて二重結合を有するアルケン類にも二酸化炭素、ホウ素化合物を導入することに成功し、現在基質適用範囲を検討中である。 以上、昨年度は銅触媒によるアルキン、アルケン類のボラカルボキシル化反応について検討した。用いる二酸化炭素や銅触媒、そして基質は、いずれも安価で容易に調製できるものであり、また今回開発した反応は一度に二つの官能基を選択的に導入できる反応で、多くのメリットがある。これらの成果は二酸化炭素を利用した新たな有用物質の開発に貢献するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2012年度の研究計画にのっとって、新たな銅触媒の開発、アルキンのボラカルボキシル化反応の開発などを行った。アルケンのボラカルボキシル化反応にも着手し、現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度はアルケンのボラカルボキシル化反応を中心に検討する。昨年度開発した手法をもとに、銅触媒を用いてB2(pin)2および二酸化炭素からアルケンの二官能基化を検討する。また得られるボラカルボン酸のさらなる反応性も調査し、この手法の有機合成への適用を検討する。 さらに、キラルヘテロサイクリックカルベン配位子を有する銅触媒を用いて、アルケンの不斉ボリル化、カルボキシル化反応にも取り組む。さらに得られた生成物から光学純度の高い複雑な分子や天然物分子などへの変換も試みる。 また、量論反応による反応中間体の捕捉や構造解析を通じて反応メカニズムを明らかにする。これらの結果より触媒の構造と得られる生成物の関係を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由:研究が順調に進んだ為 平成25年度使用計画:Glasswares 300,000円、Reagents 400,000円、その他試薬
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Research Products
(2 results)