2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24750049
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 厚志 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50437753)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 光物性 / 配位高分子 / クロミズム |
Research Abstract |
本課題では、環境応答性を有する発光性Pt(II)錯体配位子をベースにした配位高分子系に対して、1)ナノ結晶へのダウンサイジング、2)異種発光団のドーピング、の2つのアプローチを併用することで、環境応答性(応答速度、認識能力等)の劇的向上を目的に研究を展開している。これまでの環境応答性錯体に関する研究が、分子もしくはバルクレベルに限られていたことを考慮すると、ナノサイズ効果やドーピングによるエネルギー、電子移動過程の制御は、ベイポクロミック材料における劇的性能向上と新機能創出につながる可能性を秘めている。 研究初年度は、ドーパントとして機能し得る異種発光団のライブラリ構築を目指し、新規Pt(II)錯体の合成を中心に検討した。これまでのところ、室温、蒸気曝露によって分子の形状を変化させることが可能な錯体[Pt(SCN)2(H2dcbpy)](H2dcbpy = 4,4'-dicarboxy-2,2'-0bipyridine)や、エネルギー移動による選択的発光を実現するための鍵となる拡張π系を有するPt(II)錯体[Pt(CN)2(H2dcphen)](H2dcphen = 4,7-dicarboxy-1,10-phenanthroline)の合成に成功しており、いずれの錯体も蒸気による発色・発光色変化(ベイポクロミズム)を示すことを見出した。これは、ナノ結晶へのダウンサイジングや異種発光団としてドーピングすることによって、さらなる応答性向上を期待させる発見と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異種発光団となる数種類のPt(II)錯体の合成に成功しており、今後はナノ結晶化の検討とドーピングによるエネルギー移動制御の解明に研究の主軸を移行させることができ、当初の計画通り推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究次年度はこれまでに見出しているジイミン系-Pt(II)ベイポクロミック配位高分子系を活用し、ナノ結晶へとダウンサイジングする手法の確立に注力すると共に、ドーパントの導入による励起エネルギー移動制御も平行して、幅広く検討を行う。 ナノ結晶化の具体策としては、ベイポクロミックセンターとなるPt(II)錯体配位子が2つのカルボキシル基を有することから、表面保護配位子としては酢酸や安息香酸、長鎖アルキル基を有するモノカルボン酸等を用いて、種々の金属イオンとの配位高分子化を試みる。反応時間や保護配位子の濃度、溶媒などの各種条件を検討する。 異種発光団のドーピングについては、ホスト骨格を形成するPt(II)錯体配位子に、同じ配位官能基を有しながら拡張系を有するPt(II)錯体配位子(例:ホスト骨格Pt(CN)2(dcbpy)+不純物サイトPt(CN)2(dcphen))を数%程度混入させ、配位高分子化反応を進行させることで検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込額と執行額に若干の差が生じているが、研究計画に大きな変更はなく、前年度の研究費を含め当初予定通りの研究を進める予定である。
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Research Products
(6 results)