2013 Fiscal Year Research-status Report
ビス(ジピリナト)亜鉛錯体の逐次錯形成を利用した分子フォトニックワイヤの構築
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24750054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 良太 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80453843)
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Keywords | 分子フォトニックワイヤ / ジピリン金属錯体 / 光化学 / 分子ワイヤ / ナノシート / 電気化学 / 光電変換 |
Research Abstract |
(1) 分子フォトニックワイヤのフォトン伝達能の評価 分子フォトニックワイヤのモデルとして、3種の非対称ビス(ジピリナト)亜鉛複核錯体を合成した。これらはいずれも一方の末端にアントラセン、架橋部位としてジピリン配位子、逆末端にπ拡張ジピリン配位子を有しており、記載した順に光励起エネルギー勾配を有する。いずれの錯体も、トルエン中、どの色素部位を励起してもπ拡張ジピリン配位子のみからの蛍光を示した。蛍光量子収率は励起する配位子によらず、高く一定の値(0.65-0.78)を示した。この事実は、アントラセン末端からπ拡張ジピリン配位子末端へと光励起エネルギーが定量的に移動することを意味している。すなわち多核化によりフォトニックワイヤが構築可能なことを示す、重要な知見である。 (2) トリアリールアミン共役ビス(ジピリナト)亜鉛錯体 表題の単核錯体を合成し、その電気化学特性を明らかとした。通常の亜鉛錯体に比べ、1電子酸化に関するレドックスの可逆性が高まることを見出した。 (3) ビス(ジピリナト)亜鉛錯体ナノシートの合成 一次元ワイヤの概念を二次元ナノシートへと拡張するため、三叉、四叉、六叉のジピリン配位子を合成し、このうち前者2つについては亜鉛イオンとの錯形成によりナノシートの構築に成功した。またこのナノシートが色素増感型の光電変換能を有することを見出した。これは非常に重要な知見であるため、本件については研究延長期間にて区切りが良い所まで追究を行う予定である。 (4) その他 他の金属錯体ワイヤ・ナノシートに関する学術論文を数多く発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分子フォトニックワイヤの構築については、非対称二核錯体における定量的な光伝達を見出し、これを学術論文として報告した。しかしその多核化は技術的困難により、期待した進展は得られていない。一方で予想外の進展として、ジピリンナノシートの光電変換能に関する発見を得ている。その他の金属錯体ワイヤ・ナノシートに関する学術論文も数多く発表した。総合して、対研究費の成果としては、計画以上のものを獲得したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題ではビス(ジピリナト)亜鉛錯体を素材として取り扱ったが、そのナノシートへの拡張、および他の金属錯体モチーフを含んだワイヤ・ナノシートへの展開の足掛かりを得た。これら一連の研究を今後さらに発展していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には分子フォトニックワイヤを見越した非対称ジピリン亜鉛錯体が効率100%の励起子移動を示すことを発見したが、この成果を査読付き学術論文として研究期間内に発表することが難しくなった。研究期間を6ヶ月延長し、これを達成する。 投稿論文の英文校正費・カラー図掲載代、および論文の修正を求められた際の追加実験のための消耗品費に充当する。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Intramolecular [2+2+2] cycloaddition of bis(propargylphenyl)carbodiimides: synthesis of L-shaped π-extended compounds with pyrrolo[1,2-a][1,8]naphthyridine corner units2013
Author(s)
Takashi Otani, Takao Saito*, Ryota Sakamoto, Hiroyuki Osada, Akihito Hirahara, Naoki Furukawa, Noriki Kutsumura, Tsukasa Matsuo, Kohei Tamao
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Journal Title
Chem. Commun.
Volume: 49
Pages: 6206-6208
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] 1,4-Bis(4-ferrocenylphenylethynyl)anthraquinone by synchrotron X-ray powder diffraction2013
Author(s)
Maki Sachiko, Eiji Nishibori*, Masanori Yoshida, Shinobu Aoyagi, Makoto Sakata, Masaki Takata, Mio Kondo, Masaki Murata, Ryota Sakamoto, Hiroshi Nishihara
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Journal Title
Acta. Cryst.
Volume: C69
Pages: 696-703
DOI
Peer Reviewed
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