2013 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を溶媒とする新規高強度イオンゲルの開発と二酸化炭素分離膜への展開研究
Project/Area Number |
24750066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 健太 東京大学, 物性研究所, 助教 (20432883)
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Keywords | イオン液体 / イオンゲル / ゲル化反応 / 二酸化炭素分離膜 / 二酸化炭素吸収剤 |
Research Abstract |
本研究では、(1)多分岐高分子を用いた高強度イオンゲルの開発、(2)そのイオンゲルを二酸化炭素の吸収・分離材料として応用することを大きな目的としている。 (1)について、本研究では4分岐のポリエチレングリコール(Tetra-PEG)を高分子として選択し、そのイオン液体中でのゲル化反応メカニズムを調べた。このイオンゲルは、アミン末端および活性エステル末端Tetra-PEGの末端交差反応により得られ、このゲル化時間や反応率はアミン末端Tetra-PEGの酸塩基反応に強く依存することを指摘した。すなわち、溶媒である非水系イオン液体中にプロトンソースとしてプロトン性イオン液体を少量加えることで、ゲル化時間や架橋点密度を制御できることを明らかにした。電位差滴定法により、非水系イオン液体中のアミン末端Tetra-PEGおよび添加プロトン性イオン液体の共役塩基の酸解離定数を決定し、ゲル化反応を定量的に制御する方法論を確立した。また、このゲル化反応を化学反応速度論の観点から調べたところ、混合する2種のTetra-PEG濃度の2次式としてゲル化を記述できることが明らかとなった。このゲル化制御法の確立により、3~5wt%という極めて低い高分子濃度であっても、自立した高強度イオンゲルを作成することに成功した。 (2)について、上記のゲル化反応制御法を用いてゲル化時間を調節し、得られたイオンゲル薄膜を用いて二酸化炭素分離試験を行った。高分子含量5 wt%のイオンゲルにおいて、その分離特性は対応するイオン液体含浸液膜(純イオン液体)とほぼ同程度であった。また、これまでに報告例のない「高温領域での分離実験」にも成功し、~200℃でさえもゲル膜が失活・分解することなく動作することが明らかとなった。
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Research Products
(11 results)